1994 Fiscal Year Annual Research Report
肺腫瘤性病変の胸膜浸潤診断における高分解能CTと進展固定標本の対比検討
Project/Area Number |
06670929
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Research Institution | Kumamoto University |
Principal Investigator |
土亀 直俊 熊本大学, 医学部・附属病院, 助教授 (70109651)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
辻 明徳 熊本大学, 医学部・附属病院, 助手 (30253751)
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Keywords | 伸展固定肺標本 / 高分解能CT / 実体顕微鏡像 / 小葉間隔壁 / 二次小葉 / 肺胸膜 / 肺動脈 / 肺静脈 |
Research Abstract |
本年度は伸展固定肺標本においてその正常の肺構造を理解し、高分解能CTではどの程度描出可能であるかを検討した。 まず伸展固定標本であるが、手術標本もしくは肺に明らかな病変のない剖検肺を20%ホルマリンを気管支より注入して作成した。またハイツマン・伊藤氏固定液にて固定した標本も作成し、これは脱水した後、3mm、または1.5mm厚にて高分解能CT像を得た。まず標本を肉眼および実体顕微鏡下で観察した後、CT像との対比を行った。 肺胸膜は正常では100um程度の厚さでしかも胸壁に接しているため通常CTでは観察が困難である。摘出肺標本において肺の表面を実体顕微鏡下で観察すると網目状の紋様が観察されるが、この構造は肺胸膜と肺静脈または小葉間隔壁の移行部である。肺静脈とリンパ管およびそれを囲むように結合組織が存在するため固有の肺胸膜や小葉間隔壁より厚くなっている。同部はCTではY字型もしくは瘤状に膨らんでみえることがあった。 小葉間隔壁は薄く疎な結合組織からなる膜様構造であるため実体顕微鏡下では直下の肺胞が不鮮明ながら観察される。胸膜直下で発達がよくこの部位では高分解能CTで観察する事がでた。 小葉間隔壁に境された領域を二次小葉という。内部に終末細気管支、呼吸細気管支とそれらに平行して走る肺動脈とその周囲の間質、隣接する肺胞領域等からなる小葉中心部を含む。気管支壁は非常に薄いためCTでは描出されず、併走する肺動脈のみ描出された。CTでは肺動脈は肺胸膜や小葉間隔壁に接しない線状影としてみられ、肺静脈は肺胸膜に連続する脈管として観察された。
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