1996 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
06670932
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Research Institution | Osaka City University |
Principal Investigator |
高島 澄夫 大阪市立大学, 医学部, 講師 (40187951)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
中村 健治 大阪市立大学, 医学部, 助教授 (00145781)
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Keywords | 動脈 / ステント / 血管造影 / WHHL家兎 / 動脈硬化 / 血管形成術 |
Research Abstract |
WHHL家兎と正常家兎における大動脈内ステント留置後および鎖骨下動脈におけるPTA(バルーンカテーテルによる)後の変化を画像および組織標本にて比較検討した。 大動脈造影,鎖骨下動脈造影では,ステント留置直後のステント部血管径およびPTA前の血管径を基準とした血管径の狭窄率の変化をみた。WHHL家兎,正常家兎ともステント留置後の狭窄率は経過とともに高くなったが,正常家兎が4, 8週後でも2週後と狭窄率に大きな変化が見られないのに対し,WHHL家兎では4週,8週と経過するに従って狭窄率は高くなり,8週後ではWHHL家兎は正常家兎の約2倍の狭窄率となった。またPTA後の狭窄率はWHHL家兎にてステント留置よりも一時期高く,狭窄の経過は早く4, 8週後では狭窄率に大きな変化が見られなかった。 摘出標本の病理学的検討では,WHHL家兎では肥厚内膜にステントワイヤーによる壁圧縮が認められ,2週後にはステント周囲に血栓および平滑筋細胞やマクロファージが主体の新生組織増殖が認められ,8週後でも一部に血栓の残存が見られた。これに対し,正常家兎では8週後には血栓の付着は見られなった。またWHHL家兎は正常家兎に比べ修復新生組織量も多く見られた。WHHL家兎でのPTA後の変化は,内膜肥厚の異なる境界部で内膜が断裂し中膜に損傷が達する場合が多く,中膜損傷を伴う方が伴わないものより修復組織量は多いが修復過程は早かった。またステント留置例のほうがPTA例よりマクロファージが多くみられた。 以上の検討より,WHHL家兎では8週後まではステント部血管径は時間経過とともに狭窄が進み,2週後で狭窄率がほぼピークに達する正常家兎とは異なっていた。また,ステント部血管での血栓の付着,修復過程は正常家兎に比べ遷延化し,それとともに修復新組織の増大が認められた。WHHL家兎でのPTA部血管径はステント留置に比し狭窄率が一時期高く,狭窄時期も早かった。また中膜損傷例で修復が早く,肥厚した内膜は修復の妨げになるものと思われた。
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