1994 Fiscal Year Annual Research Report
重粒子線照射との対比からみたX線治療難治性癌の解析とX線治療効果改善の検討
Project/Area Number |
06670936
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Research Institution | Keio University |
Principal Investigator |
伊東 久夫 慶應義塾大学, 医学部, 助教授 (20095574)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
沓木 章二 慶應義塾大学, 医学部, 助手 (00234443)
茂松 直之 慶應義塾大学, 医学部, 助手 (30178868)
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Keywords | 放射線療法 / 重粒子線 / 培養細胞 / 放射線感受性 |
Research Abstract |
放射線治療に対して抵抗性腫瘍、あるいは縮小しても再増殖する腫瘍は、放射線照射時に肉眼的に観察される腫瘍サイズの全体的縮小に比べ、腫瘍細胞数の減少が少なく、放射線抵抗性腫瘍細胞が残存し、増殖抑制が起こりにくい状況が推測される。放射線によるDNA損傷の回復が容易におこる機序や、照射後に増殖が促進される機序が作用している可能性がある。腫瘍細胞にX線を照射した場合と重粒子線治療を行った場合、放射線に対する感受性に差異が認められる。この程度はRBEとして表現されるが、同一のLET、線量の重粒子線を照射しても、細胞によりRBEが異なってくる。本研究は、ヒト由来の各種悪性腫瘍細胞にX線照射と重粒子線照射を行い、X線照射時の放射線感受性を重粒子線照射の成績から予測する方法の開発を目的とした。子宮頚癌および卵巣癌由来の腺癌細胞8種、食堂癌および子宮頚癌由来の扁平上皮癌細胞6種、外陰悪性黒色腫1種に単層培養でX線照射を行い、Colony法により放射線感受性を検討した。単層培養したヒト由来腫瘍細胞は、V79のような動物由来の細胞に比べて、Do値やn値が小さく、線量一効果曲線の勾配は急峻であった。しかし、悪性黒色腫由来細胞のごとく、V79細胞より放射線感受性の低い細胞もあった。腺癌と扁平上皮癌の由来の細胞の放射線感受性を比較しても、特徴的差異は認められなかった。前記細胞に重粒子線(20-100KeV炭素線)に対する感受性を検討した。細胞毎に重粒子線に対する感受性は異なり、X線抵抗性の細胞が重粒子線にも抵抗性を示す、あるいはX線に感受性の高い細胞は、重粒子線にも感受性が高いとは言えず、重粒子線に対する感受性をX線の感受性から推測することは困難と思われた。
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