1994 Fiscal Year Annual Research Report
コカイン反復投与による脳ドパミン取り込み部位の持続性変化
Project/Area Number |
06670951
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
松岡 洋夫 東北大学, 医学部, 講師 (00173815)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
吉田 寿美子 東北大学, 医学部, 助手 (50261532)
沼知 陽太郎 東北大学, 医学部附属病院, 助手 (00261636)
佐藤 光源 東北大学, 医学部, 教授 (70033321)
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Keywords | コカイン / 逆耐性 / ラット / オートラジオグラフィー / ドパミントランスポーター |
Research Abstract |
本研究では、コカイン慢性投与動物を用いて、 (1)[^<125>I]RTI55の脳内動態の検討、 (2)[^<125>I]RTI55を用いた結合実験、 (3)ドパミン(DA)系神経終末に選択的に取り込まれる薬剤である1-Methyl-4-phenylpyridinium(MPP)の取り込み実験などを行い、コカイン逆耐性現象に伴う脳内のモノアミンtransporter(主にDAT)の持続性の異常を明らかにすることを目的とする。平成6年度は、コカイン逆耐性動物において[^<125>I]PTI55を用いたex vivo autoradiographyを行った。7週令のSD系雄性ラットに、塩酸コカイン(生理食塩水溶液,20mg/kg)を21日間腹腔内慢性投与し、投与初日と最終日に常同行動評価スケールにより行動評価を行い、逆耐性が形成されたことを確認し、これをC群、生理食塩水溶液を20日間腹腔内慢性投与し、21日目に塩酸コカイン(生理食塩水溶液,20mg/kg)を腹腔内投与したものをSC群とした。なお正常対照群として、相当量の生理食塩水を21日間腹腔内慢性投与したラットを用い、これをS群とした。上記3群のラットについて、上記処置の最終日から7日日後に[^<125>I]RTI55を用いたex vivo autoradiographyを行った[^<125>I]RTI55(34.2μCi/head)を腹腔内投与し、投与後180分で断頭、脳を採取した。クリオスタットで厚さ16μmの冠状断連続切片を作成した。関心領域(前頭葉、線条体、側坐核、視床、視床下部、海馬、扁桃核、腹側被蓋野、黒質、小脳、橋)を含む切片について、ラジオイメージアナライザー(Fuji BAS-2000)を用いて画像解析し、単位重量あたりの放射活性も算出した。その結果、逆耐性を形成したC群では、S群に比べて有意に上記脳部位における単位重量あたりの放射活性が減少していた。コカインを単回投与したSC群では、S群に比べて有意の差を認めなかった。以上から、C群で認めた放射活性の低下は、コカイン逆耐性の形成に伴うものであると考えられた。RTI55は、ドパミントランスポーター(DAT)に特異的なリガンドなので、今回得られた結果は、コカイン逆耐性形成に伴って、脳内DATが減少していることを示唆するものである。平成7年度にはこのような点に留意しつつ、[^<125>I]RTI55を用いた結合実験と、[^3H]MPPを用いた取り込み実験を行う予定である。
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Research Products
(6 results)
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[Publications] Matsuoka,H.: "Information processing deficits in schizophrenia:an ERP study." Biol.Psychiatry. 35. 615 (1994)
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[Publications] Saito,H.: "Information processing deficits in mood disorder:an ERP study." Biol.Psychiatry. 35. 615 (1994)
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[Publications] Ueno,T.: "Information processing deficits in temporal lobe epilepsy:an ERP study." Biol.Psychiatry. 35. 615 (1994)
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[Publications] Matsuoka,H.: "Clinical approach to psychotic symptoms in temporal lobe epilepsy:vulnerability hypothesis of“Epileptic Psychosis"." Jpn.J.Psychiatry Neurol.48. 213-216 (1994)
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[Publications] Sato,M.: "Metamfetamina abuso,dipendenza e psicosi nel paese del sol levante." Medicina delle tossicodipendenze. 2. 48-51 (1994)
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[Publications] 佐藤光源(共著): "脳機能の解明-分子から病態まで-" 創風社, 286 (1994)