1994 Fiscal Year Annual Research Report
閉所ストレス下におけるラットの摂餌行動と脳内セロトニンとドパミン代謝
Project/Area Number |
06670969
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Research Institution | Osaka City University |
Principal Investigator |
切池 信夫 大阪市立大学, 医学部, 助教授 (60094471)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
井上 幸紀 大阪市立大学, 医学部, 助手 (50254397)
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Keywords | 前頭皮質 / 側坐核 / 線条体 / 視床下部 / ドパミン / セロトニン / ストレス / 摂食行動 |
Research Abstract |
Wistar系雌性ラット(12週齢、180-210g)をchloral hydrate(400mg/kg,ip)麻酔下で脳定位固定装置を用いてPaxinosとWatsonの図譜に従い、外形0.9mmのguide cannulaを前頭皮質、側坐核、線条体、視床下部に挿入し、固定した。ラットを8時-20時を暗期とする明暗恒温条件下で個別の飼育用アクリルケージ(300×300×350mm)で飼育し、術後7日以上の回復期間の後、ラットに1日のうち11時から13時の2時間制限給餌を7日間施行し8日目の9時に膜長3mmのI字型透析プローブを挿入し、10時から11時までのDA,DOPAC,HVA,5-HT,5-HIAAの基礎値を測定した。そして11時から自由摂餌させ、1群には100×150×100mmのステンレスグリッドのケージに移し閉所ストレスを加え、他群には閉所ストレスを加えないで自由摂餌させ、これらと22時間絶食後、閉所条件を加えないで自由に摂餌させた群と、摂餌量および前頭皮質、側坐核、線条体のDA,DOPAC,HVA量、視床下部の5-HT,5-HIAA量を比較した。制限給餌後の自由摂餌開始2時間の摂餌量は有意に増加し、さらにこれに閉所条件を加えるとより摂餌量が増加することを観察した。この時の前頭皮質細胞外液中のDA量は増加しなかったが、DOPAC,HVA量が増加したことから、DA代謝の亢進が示唆された。側坐核において基礎値に比して有意に増加したが、3群間に有意差は認めなかった。線条体においては、閉所ストレスを加えた約3時間から4時間後にDA量の増加を認めた。しかし視床下部の5-HT,5-HIAA量は変化しなかった。 以上、時間制限給餌後に自由摂餌させ、この時閉所ストレスを加えるとrebound hyperphagiaがさらに増強し、前頭葉および線条体のDA代謝が亢進したが、視床下部の5-HTは影響をうけなかった。このことから閉所ストレスによるrebound hyperphagiaの増強には前頭葉と線条体のDA代謝の亢進の関与が示唆された。
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