1995 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
06670970
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Research Institution | COLLEGE OF NURSING ART & SCIENCE,HYOGO |
Principal Investigator |
吉本 祥生 兵庫県立看護大学, 看護学部, 教授 (50030862)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
前田 潔 兵庫県立高齢者脳機能研究センター, 研究部部長 (80116251)
櫻井 利江 兵庫県立看護大学, 看護学部, 助手 (80254473)
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Keywords | 痴呆 / アルツハイマー病 / カルシウム / 骨密度 / DEXA法 |
Research Abstract |
脳の高次機能を司る神経細胞の興奮、伝達物質の遊離、シナプスの可塑性などの機能に細胞内外のカルシウム濃度の変化は微妙に関与しており、このカルシウム調節機構の破綻が神経細胞死をもたらすと考えられている。脳機能とカルシウム代謝異常については一般に、加齢とともに身体のカルシウムは減少し、慢性的なカルシウム欠乏状態となり、その結果、副甲状腺ホルモンの分泌は増加し、骨吸収が促進され、血管壁や細胞にカルシウムの沈着や流入が増大し、動脈硬化や脳細胞の機能低下を来す可能性があるといわれている。今回我々は20例の痴呆患者(アルツハイマー型、血管性型、その他)のカルシウム代謝異常について、全身骨塩量の測定をDEXA法にて、脳機能の評価は、長谷川式簡易知能テスト、エージング、アイ法、CT、MRI、SPECT、にて行った。痴呆患者の骨塩量は、コントロールに比し、極端に低い症例から正常ないし高い者まであり、又痴呆発症の原因と骨塩量との間には、現在のところ、有意の相関はなかった。次に痴呆患者へのカルシウム投与による治療効果を観察した。1年以上観察可能であった症例5例のうち、2例では記憶、認知障害等が著明に改善され、2例では、やや有効、1例は全く無効であった。何れの症例でも骨塩量の増加を認め、カルシウム投与が骨代謝面の改善に効果的だったことをしめしている。以上の研究結果は、痴呆=不治の病という概念は変わりつつあり、多因子疾患として捉えられ、その発症の1因としてカルシウム代謝異常が関与いていることを示唆した。
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[Publications] 吉本祥生・根本清次・櫻井利江: "運動と骨" 兵庫県立看護大学紀要. 1. 1-5 (1994)
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[Publications] 吉本祥生: "嗅覚記憶とカルシウム" Clinical Calcium. 32-36 (1995)
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[Publications] 前田潔・吉本祥生: "カルシウム摂取とアルツハイマー病の疫学" Clinical Calcium. 55-56 (1995)
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[Publications] 吉本祥生: "痴呆-カルシウム投与による治療効果-" Clinical Calcium. 65-70 (1995)
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[Publications] 吉本祥生: "「難病を攻める」…骨粗鬆症-診断、治療の最近の進歩" 大日本図書, 235(155-176) (1994)