1994 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
06670971
|
Research Institution | Nara Medical University |
Principal Investigator |
飯田 順三 奈良県立医科大学, 医学部, 講師 (50159555)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
岩坂 英巳 奈良県立医科大学, 医学部, 助手 (70244712)
|
Keywords | 精神遅滞 / 発達 / 問題行動 |
Research Abstract |
県内の1養護学校に在籍する小学部1年から高等部3年までの精神発達遅滞児84名(男子57名、女子27名)について、問題行動の縦断的変化を1991年4月から1994年3月まで観察し、以下のような知見を得た。 (1)日常生活に関わる食事、排泄、睡眠における問題行動は、偏食、夜尿、起床困難、浅眠を除いて、DQとの相関が高く、加齢に伴って軽減した。 (2)年齢的に2次性徴があり、対人場面での関わりが増す中学部にピークのある問題行動として、遺尿、多動、集中困難、自傷行為などがあり、それらはてんかん発作や性格など生物学的要因の影響を強くうけていた。 (3)自閉症に多い問題行動として、パニック、自傷行為、チック、性器いじりがあり、自傷は高等部でやや軽快するものの、いずれも難治であった。 (4)こだわりは、自閉症のみでなく、自閉症でない精神発達遅滞児においても、しばしばみられ、母子分離や母親の性格など、母親とのかかわりという環境要因が深く関与していた。 (5)言語面で2語文以上獲得していないと、異食、頻尿、睡眠障害、寡動、パニックなどさまざまな問題行動が持続しやすく、周囲からのかかわりも環境要因として重要であると考えられた。 (6)脳波異常とてんかん発作は、さまざまな問題行動の危険因子であり、思春期になって問題行動が増加する場合、脳波検査を行う必要があると考えられた。 (7)問題行動の軽減のためには、発達早期からDQを偏りなくのばしたり、適応行動をましていくような働きかけが重要であり、かつ有効であると推察された。
|