1994 Fiscal Year Annual Research Report
神経性食欲不振症モデルとしての心理ストレス暴露ラットの神経内分泌学的検討
Project/Area Number |
06670980
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Research Institution | Tokyo Women's Medical University |
Principal Investigator |
鈴木 眞理 東京女子医科大学, 医学部, 助手 (90128140)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
今城 俊浩 東京女子医科大学, 医学部, 助手 (50183190)
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Keywords | 神経性食欲不振症 / 心理ストレス / communication box system / ACTH / β-エンドルフィン / コルチゾール / 自発行動 / 生殖機能 |
Research Abstract |
communication boxを用いると、ラットに、電撃ショックという直接的な身体刺激は与えないが、透明なアクリル板で仕切られた隣室で電撃ショックを受けているラットの泣き声、跳躍、排泄による視聴嗅覚刺激という心理ストレスにさらすことができる。 communication box systemで、wistar系雄ラットに1.5mA/secの強度で、randamに2times/minの電撃ショックによる1時間の心理ストレスを1日2回、7日間与えたところ、総エサ摂取量と体重増加量はそれぞれコントロール群の86%と58%に有意に抑制された。 この摂食行動と体重増加が抑制されたラットの血糖、末梢血ホルモン、生殖機能、自発行動を検討した。7日目の血糖は有意に低下し、血中ACTH、β-エンドルフィン、コルチゾール、血中カテコールアミンは上昇していた。しかし、これらのホルモンの変化は個体差が大きかった。血中FSH,LHは低下傾向があるもののコントロール群と有意差は認めなかった。雌ラットの膣スメアの検討では、心理ストレスを与えた前後で性周期に変化を認めなかった。心理ストレス投与後、各ホームケージに戻すと、自発運動は亢進していたが、新しい環境に置くと総走行距離や自発運動は抑制された。 得られた結果を神経性食欲不振症の病態と比較すると、血糖の低下、血中ACTH、β-エンドルフィン、コルチゾールの上昇、自発運動の亢進は類似していた。著者の検討では、摂取量を制限したラットでは血中ACTH、β-エンドルフィンは低下するので、以上の結果は単純な飢餓によるものではないと考えられる。神経性食欲不振症の主たる症状である性腺機能低下は、この条件の心理ストレスでは認められなかった。
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[Publications] Tamotsu Shibasaki et al.: "β_2-Adrenergic mechanism is involved in Stress-induced increase in arousal." Neuroscience Letters. 180. 167-170 (1994)
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[Publications] 堀田眞理: "内分泌疾患とストレス" Mebio. 11. 68-74 (1994)
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[Publications] 堀田眞理: "クリニカルファーマシーのための内科学" 溝口秀昭,狩野庄吾編 医薬ジャーナル社, 563 (1994)