1995 Fiscal Year Annual Research Report
緯度差のある全国6地域における季節性感情障害(SAD)の疫学的研究
Project/Area Number |
06670981
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Research Institution | Toho University, Faculty of Science |
Principal Investigator |
小栗 貢 東邦大学, 理学部, 教授 (60120250)
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Keywords | 季節性感情障害 / SAD |
Research Abstract |
本研究は、日本列島を緯度差(約4度)のある6地域を選び、気分、睡眠、体重、活動量の各レベルが季節ごとに、どう変動するかを調べることにより季節性感情障害(SAD)の前臨床像を疫学的に把握することが目的である。 この目的を達成するための本年度の研究計画は、前年度に収集しデータファイルとして入力した基礎データを統計的に解析することによりSADの前臨床像を疫学的に把握することであった。統計解析法として、季節性の変動に関しては一元配置法、二元配置法のANOVAを、地域ごとの比較にはScheffe F-testを主に用いた。 その結果、日本版SPAQ得点は、次の傾向が認められた:(1)季節性心理-生理変量に関しては、寒冷地(札幌、秋田)では睡眠時間が冬期に増加し、春期になると気分が向上する傾向が他の地域(銚子、習志野、鳥取、鹿児島)より強く観察された。(2)SPAQ得点で高季節変動群と低季節変動群の二群に分けた比較分析の結果、高季節変動群は低季節変動群に比べいづれの変量ついても季節変動の差を示した。以上から、冬期に日照時間の短い地域ではうつ状態の反応が示され、健康正常人の中にも季節性感情障害の背景が認められた。
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