1994 Fiscal Year Annual Research Report
高齢者の夜間せん妄に対するコリン作動性薬剤による治療法の開発
Project/Area Number |
06670990
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Research Institution | National Center of Neurology and Psychiatry |
Principal Investigator |
内山 真 国立精神・神経センター, 精神保健研究所, 室長 (20221111)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
尾崎 茂 国立精神, 神経センター・精神保健研究所, 研究員
白川 修一郎 国立精神, 神経センター・精神保健研究所, 室長 (20100141)
一瀬 邦弘 都立荏原病院, 精神科, 医長 (30126205)
大川 匡子 国立精神, 神経センター・精神保健研究所, 部長 (80160430)
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Keywords | せん妄 / 中枢性抗コリン剤 / 薬物中毒 / 概日リズム / メラトニン / コルチゾール |
Research Abstract |
1)本年度は、高齢者専門の総合病院の精神科で疫学的研究を中心に行った。過去3年6カ月の精神科全入院患者700例中せん妄を呈した連続120例を対象に研究を行った。 これらせん妄患者の年齢分布は60歳から93歳で、75から79歳が一番多く、75才以上の患者が半数以上をしめていた。入院の経路としては他の病院からの紹介が約80%で、院内他科からせん妄による治療困難を理由とした転科が約20%だった。 これら120例のうち70例と半数以上に、急性に意識障害をおこしうる直接原因が同定された。直接原因としては、脳血管障害急性期、薬物中毒、中枢神経系感染症、てんかん、頭部外傷急性期、離脱、代謝性脳症などであった。薬物中毒によるせん妄は20例で中枢性抗コリン作用を持つパーキンソン病治療薬や抗うつ薬が18例とほとんどを占めた。 高齢者のせん妄でも急性に意識障害を起こし得る原因をもつ症例が多く、中枢性抗コリン作用を持つ薬剤でせん妄が起きやすいことがわかった。これらの結果の一部を1994年7月にワシントンで行われた国際精神神経薬理学会で発表した。 2)時間生物学的研究を進めるため、正常人を用い低照度光下で運動制限を行った際のメラトニンおよびコルチゾル分泌リズムを4例について測定した。メラトニンについては分泌立ち上がり時刻が、コルチゾルでは分泌のピークが生体リズムの指標として最も妥当性が高いことが示唆された。
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Research Products
(8 results)
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[Publications] M.Uchiyama,G.Mayer,K Meier-Ewert: "Differential effects of extended sleep in narcoleptic patients," Electroencephalography and clinical Neurophysiology. 91. 212-218 (1994)
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[Publications] M.Uchiyama,G.Mayer,K Meier-Ewert:"Effects of vitamin B12 on circadian body temperature rhythm," Japanese Journal of Psychiatry and Neurology,. 48. 504-505 (1994)
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[Publications] K.Mshima,M.Okawa,et.al.: "Morning bright light therapy for sleep and behavior disorders in elderly patients with dementia," Acta Psychiatr Scand,. 89. 1-7 (1994)
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[Publications] 内山真、大川匡子、他: "老人の夜間不穏の症例" 治療学. 28. 1037-1041 (1994)
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[Publications] 内山真: "老人の情動変化と内分泌リズム" 老年精神医学雑誌. 5. 1067-1075 (1994)
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[Publications] 内山真、大川匡子、他: "睡眠・覚醒リズム障害" 神経進歩. 39. 92-103 (1995)
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[Publications] 内山真: "睡眠学ハンドブック(レム睡眠行動障害の治療、)" 朝倉書店, 8 (1994)
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[Publications] 内山真: "現代のエスプリ 332号(勤労者の睡眠障害と生体リズム障害)" 至文堂, 11 (1995)