1995 Fiscal Year Annual Research Report
動脈硬化症の脂質沈着機構における細胞内脂質転送蛋白(SCP2)の病態生理学的研究
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06671003
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Research Institution | CHIBA UNIVERSITY |
Principal Investigator |
平井 愛山 千葉大学, 医学部・附属病院, 講師 (10189813)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
寺野 隆 千葉大学, 医学部・附属病院, 助手 (70237006)
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Keywords | 動脈硬化症 / マクロファージ / 変性LDL / スカベンジャー受容体 / 細胞内脂質転送蛋白 / SCP2 / コレステロール / 泡沫細胞形成 |
Research Abstract |
(1)ラット腹腔マクロファージにおけるSCP2の遺伝子発現の調節機構の解析 ラット腹腔マクロファージが変性LDLを貧食して泡沫細胞化する過程でSCP2が増加する機構を解析するため、SCP2のcDNAをプローベとして用い、SCP2の蛋白量の変動に加えて、mRNAの変動を解析できるようにした。さらにSCP2の発現調節がどのような因子によって調節されているかを明らかにするため、まずスカベンジャー受容体に結合してこれを活性化するが細胞内コレステロール含量には全く影響を与えない非脂質性のスカベンジャー受容体のリガンドとしてmaleylated BSAをもちいる系を確立した。一方スカベンジャー受容体を介さずに細胞内に取り込まれコレステロール依存性の経路の発動をもたらすコレステロールの誘導体脂質として25‐hydroxycholesterol(25‐OH Chol)をもちいる系を確立した。 これらの実験系を駆使して解析を行った結果、ラット腹腔マクロファージでは変性LDLのスカベンジャー受容体への結合ではなく、変性LDLによる細胞内コレステロールの増加がSCP2の遺伝子発現を増強することがはじめて明らかになった。 2.ラット甲状腺培養細胞FRTL‐5細胞をもちいたSCP2遺伝子の発現調節機構の解析 ラット甲状腺培養細胞株であるFRTL‐5細胞は米国のKohnらによって樹立された細胞株であり、甲状腺疾患の病因・病態の解明に広く用いられている。ところでFRTL‐5細胞の特徴の一つに甲状腺の最も強力な増殖因子であるTSHの刺激に伴い、コレステロール生合成経路の活性化が起こることが既に明らかにされている。そこでTSH刺激によりコレステロール生合成経路が活性化される際、その転送蛋白であるSCP2がどのように変動するかについて検討を加えたところ、TSH刺激に伴いSCP2含量が著しく増加すること、およびTSH刺激によりcyclic AMP経路を介してSCP2の遺伝子発現が増強されることが明らかになった。
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Research Products
(2 results)
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[Publications] Tokinaga,K: "Increase in the content of sterol carrier protein 2(SCP‐2)during foam cell formation of rat peritoneal macrophages." Ann New York Aca Sci.784. 571-574 (1995)
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[Publications] 吉田 勢津子ほか: "FRTL‐5細胞における細胞内脂質転送蛋白、Sterol carrier protein2(SCP2)-その存在と遺伝子発現-" 脂質生化学研究. 37. 258-260 (1995)