1995 Fiscal Year Annual Research Report
食後レムナント代謝異常におけるコレステリルエステル転送蛋白の役割
Project/Area Number |
06671013
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Research Institution | Kanazawa University |
Principal Investigator |
小泉 順二 金沢大学, 医学部・附属病院, 講師 (20161846)
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Keywords | レムナント / コレステリルエステル転送蛋白 / 家族性複合型高脂血症 / 耐糖能障害 / 高インスリン血症 / 動脈硬化 |
Research Abstract |
食後レムナント代謝異常が存在する糖尿病患者と家族性複合型高脂血症(FCHL)の関係を検討するために、家族調査で確診されたFCHLの耐糖能異常を検討した。さらに、糖尿病患者でコレステリルエステル転送蛋白(CETP)活性を測定しリポ蛋白代謝異常との関係を検討した。75gOGTTの結果、FCHLではIGT群とDM群の頻度は20例中7例(35%)と5例(25%)で、C群では11例(27%)と2例(5%)とFCHLでDMの頻度が高い傾向であった。IRI濃度時間曲線下面積(AUC-IRI)の平均は、FCHL群のN群とIGT群では162μU/ml・hと208μU/ml・hでC群のN群とIGT群(77μU/ml・hと103μU/ml・h)より有意に高値であった(p<0.05)。さらに、FCHL群のN群とIGT群のAUC-IRI/AUC-血糖比の平均は0.48と0.46で、C群のN群とIGT群(0.22と0.20)より有意に高値であり(p<0.05)、FCHLでの高インスリン反応が明らかにされた。IRI反応とLDL-C、HDL-C、TGとの関係では、FCHL群ではLDL-CとAUC-IRIとの間に有意な正相関が認められた(p<0.05)。糖尿病患者の血清CETP活性は、正常コントロールと有意差は認められず、CETP活性とHbA1c値および肥満度(BMI)との間にも関連は認められなかった。しかし、CETP活性はLDL-Cと有意の正相関を示し、HDL-C/A-I比とは負の相関傾向を示した。 以上より、FCHLにおける高インスリン血症が明らかとなり、インスリン抵抗性によるレムナント代謝異常が推察され、糖尿病患者のリポ蛋白代謝異常には、FCHL合併およびCETPによる影響が考えられた。今後さらに食後レムナント代謝とCETPの関係を、動脈硬化を生じるリポ蛋白代謝異常の解明のために検討しなければならない。
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[Publications] 小泉順二、馬渕宏: "肥満と関連疾患、4.高脂血症" 日本内科学会誌. 84. 1256-1261 (1995)
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[Publications] 小泉順二.馬渕宏: "代謝・内分泌、4.高脂血症" 臨床科学. 31. 1098-1104 (1995)
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[Publications] 小泉順二: "糖尿病脂質代謝異常の特徴" 現代医療. 27. 2731-2735 (1995)
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[Publications] 小泉順二、馬渕宏: "高脂血症(原発性)の諸型とその治療、図説病態内科講座" メジカルビュー社, 191 (1995)
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[Publications] 稲津明広、他: "CETPと脂質代謝異常" 診断と治療社, 251 (1995)