1994 Fiscal Year Annual Research Report
糖尿病における膵B細胞のグルコース応答シグナリングの障害
Project/Area Number |
06671017
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Research Institution | Hamamatsu University School of Medicine |
Principal Investigator |
田港 朝彦 浜松医科大学, 医学部, 講師 (90107954)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
西 重夫 浜松医科大学, 医学部, 助手 (80218099)
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Keywords | 糖尿病 / インスリン分泌 / 膵B細胞 / カルシウム シグナリング / 細胞内カルシウム / アロキサン |
Research Abstract |
【1】我々はすでに,alloxan,ninhydrin,などのD-glucose類似の構造を有し、かつ膵B細胞毒でもある化合物がD-glucose類似の細胞内遊離カルシウム([Ca^<2+>]i)上昇作用を示すことを明らかにした。これら膵B細胞毒による[Ca^<2+>]i上昇作用とその意義と[cA^<2+>]iの由来を,とくにRyanodine 感受性細胞内遊離カルシウムプールとの関連を明らかにする目的でin vitroの実験を行った。 1)Alloxan(A),ninhydrin(N),p-nitrophenyl-a-D-glucopyranoside(aPNPG)は,D-glucoseによるインスリン分泌を抑制した。2)これらの薬物による[Ca^<2+>]i上昇は一見D-glucoseに類似していたが,D-glucoseに特有の波動的[Ca^<2+>]i変動('Oscillation')を欠いていた。3)Ryano deine(Ry)またはCa-ATPase阻害剤であるThapsig argin(Tg)は[Ca^<2+>]iを上昇させたが,[Ca^<2+>]iのOs cillationは伴っていなかった.4)RyまたはTgの前処置によって[Ca^<2+>]iを枯渇させるとA,Nによるインスリン分泌抑制は阻止された。5)Ruthenium red(RR)はインスリン分泌の基礎値を上昇させたが,D-glucoseによるそれを抑制した。この傾向はA,Nを導入しても同様であった。6)RRはAD-glucoseによる[Ca^<2+>]i反応を遅延,低下させた。以上より,D-glucoseが惹起する[Ca^<2+>]i反応は、膵B細胞内の糖代謝には依存しない可能性を示すものである。また、D-glucoseのような[Ca^<2+>]iのOs cillationは膵B細胞に生存に不可欠であり、これを伴わない[Ca^<2+>]i上昇は細胞にとって有害であることが示され,B細胞毒によって動員された[Ca^<2+>]iの由来として細胞内Ryanodine感受性プールが推定された。
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