1995 Fiscal Year Annual Research Report
インスリン受容体基質IRS-1遺伝子とその糖尿病における異常の解析
Project/Area Number |
06671042
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Research Institution | KUMAMOTO UNIVERSITY |
Principal Investigator |
荒木 栄一 熊本大学, 医学部, 助手 (10253733)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
岸川 秀樹 熊本大学, 医学部, 講師 (30161441)
七里 元亮 熊本大学, 医学部, 教授 (00028515)
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Keywords | インスリン受容体基質(IRS-1) / インスリン非依存型糖尿病 / 遺伝子 / SSCP解析 / インスリン抵抗性 |
Research Abstract |
前年度、糖尿病患者47名コントロール47名のSSCP解析にて7つのSSCPポリモルフィズムを同定しその内の一つは既報のGly^<971>→Arg(GGG→AGG)であった。本年度では、以下の1〜3を行った。 1.IRS-1遺伝子ポリモルフィズム領域の塩基配列の決定 ・同定した7つのSSCPポリモルフィズムの内、前年度、塩基配列の不明であった6つについて塩基配列を決定した。 ・3つはサイレント変異Leu^<142>(CTT→CTC)^*、Gly^<625>(GGC→GGT)^*、Ala^<804>(GCA→GCG)、3つはミスセンス変異Pro^<170>→Arg(CCC→CGC)^*、Met^<209>→Thr(ATG→ACG)^*、Ser^<809>→Phe(TCT→TTT)^*であり、これらの内、^*の5つは今までに報告がない新しい変異であった。 ・4つのミスセンス変異は、すべてIRS-1で種をこえて保存されたアミノ酸に生じた、性質の異なるアミノ酸への置換であった。 2.糖尿病とIRS-1遺伝子ポリモルフィズムとの相関の検討 ・各々の点変異は、統計学的有意差はないが、糖尿病群に多く認められ、また、Met^<209>→Thr変異とSer^<809>→Phe変異は糖尿病群にのみ検出された。 ・4つのミスセンス変異全体の出現頻度は糖尿病群23.4%、対照群8.5%と糖尿病群に有意に多かった(P<0.05)。 正常血糖域クランプ法によりインスリン抵抗性の指標であるglucose infusion rate(GIR)を比較したところ、GIR(μmol・kg-1・min-1)は、IRS-1変異を持つ糖尿病群18.7±8.8、対照群41.8±11.0;IRS-1変異を持たない糖尿病群25.8±8.2、対照群53.9±4.4であり、両群ともに変異を持つ対象がGIRが低い、即ちインスリン抵抗性が存在する傾向を認めた。 以上の結果より、5つの新しい変異を含む7つのIRS-1変異を同定し、更にIRS-1変異が糖尿病患者に、より高頻度に存在することが明らかとなった。また、IRS-1変異を持つ者はインスリン抵抗性を有する傾向があり、IRS-1変異がインスリン抵抗性の一因となることを示し得た。
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Research Products
(3 results)
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[Publications] 荒木 栄一: "糖尿病とIRS-1との関連;臨床的検討と基礎的検討" 分子糖尿病学. 6. 121-127 (1995)
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[Publications] Ura S: "Molecular scanning of the insulen receptor substrate-1 (IRS-1) gene in Japanese patients with NIDDM : identification of five novel polymorphisms." Diabetologia. (in press). (1996)
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[Publications] Araki E.: "Molecular Analysis of IRS-1 (insulin receptor substrate-1) ; Evidnences of Its Contribution to the Insulin Resistnace" New Aspects on the Pathogenesis and Treatment of Diabetes Mellitus. (in press).