1995 Fiscal Year Annual Research Report
ラット甲状腺癌細胞株を用いた甲状腺癌治療の新しい試み
Project/Area Number |
06671051
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Research Institution | Saitama Medical School |
Principal Investigator |
飯高 誠 埼玉医科大学, 医学部, 助教授 (10142407)
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Keywords | 甲状腺癌 / TSH受容体抗体 / antisense oligonucleotide / cytotoxic T cell |
Research Abstract |
rat甲状腺癌細胞株FRTCを用いて、新しい甲状腺癌治療法の検討を行った。まず、TSH受容体(TSH-R)抗体を分子生物学的手法を用いて作製する試みであるが、まずvector pEF321-FL(東京大学医科学研究所・菅野先生より提供)に組み込んだfull lenghth rat TSH-R cDNAをcos7細胞に発現させた。この細胞は機能的TSH-Rを発現していたが、蛋白として分離すると発現量が少なく、高力価の抗体作製はできなかった。ペプチドを用いた抗体作製には、岐阜大・坂田先生のご協力で抗血清はできたが、抗体の分離精製が困難で、特異的抗体と抗癌剤との結合物が作製できなかった。抗血清を全て用いたり、そのIgG分画を用い、第2抗体と抗癌剤結合物を作用させる方法も試みたが、あまり特異的作用が期待できなかった。現在、vectorをBCMGSNeo(J Exp Med 172:969,1990)に変えて発現量の増加を図り、抗体産出を検討中である。 FRTCに発現しているrat c-mycに対するantisense oligonucleotideを用いると、FRTCの増殖は抑制されたが、一過性の効果にとどまった。しかし培養液中でも分解されにくい、phosphorothioate antisense oligonucleotideを用いたところ、増殖抑制効果は著明で、しかも持続性であった。これを、in vivoにて投与する計画も考案中であるが、endonucle aseの作用をいかに抑えるかが問題点である。 特異的cytotoxic T cellの誘導は、rat thyroglobulinを抗原として誘導を試みた。誘導されたcytotoxic T cellは、FRTCに対してもin vitroにて細胞障害性を有していた。しかし、その効果は持続的でなくFRTCの増殖を完全に抑制するものではなかった。今後、同細胞を用いたin vivoでの効果の検討や、cytotoxic T cellを増殖させる手段を考案する必要がある。また、recombinant TSH-Rを抗原とする誘導も検討中である。
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