1994 Fiscal Year Annual Research Report
高危険群を対象としたヒト甲状腺癌の遺伝子診断と遺伝子治療に関する研究
Project/Area Number |
06671053
|
Research Category |
Grant-in-Aid for General Scientific Research (C)
|
Research Institution | Tokai University |
Principal Investigator |
阿部 好文 東海大学, 医学部, 講師 (30124928)
|
Keywords | 甲状腺癌 / ラス蛋白 / 細胞内情報伝達系 |
Research Abstract |
本研究はヒト甲状腺癌の細胞内情報伝達系の異常をあきらかにし、その異常の本体を研究することにより甲状腺癌の新しい治療法を開発することを目標にしている。本年度は甲状腺でのラス蛋白を介する情報伝達系の詳細を明らかにした。 1.ラス蛋白を介する情報伝達系の異常(1)ラス蛋白の活性化の測定:甲状腺腫瘍組織と周囲正常組織より初代培養細胞系を作成し、EGF(上皮増因子)で刺激したところラス蛋白はGDP formからGTP formへと変換された。甲状腺癌細胞は無刺激で、すでにGTP formが増加していた。(1)GAPのリン酸化の測定:培養ヒト甲状腺細胞のGAP(GTPase activating protein)の抗GAP抗体で免疫沈降しリン酸化されたGAPを測定したところ甲状腺癌ではリン酸化されたものが多かった。(3)MAPキナーゼ活性の測定:甲状腺細胞をEGFで刺激後、ミエリン塩基性蛋白を基質として反応させ、MAP kinaseの活性を測定したところ、甲状腺癌では高い活性を示した。 2.癌の進展とFAKの関連:甲状腺細胞を人工細胞外基質の上で培養すると、細胞接着因子の作用でFAK(focal adhesion kinase)がリン酸化されるが、進展度の高い癌ではその程度が増強していた。 3.予測スコアの決定:伊藤病院で1977年以後甲状腺癌の手術をうけた症例2,000例を対象に甲状腺外科検討会の甲状腺癌全国登録のために基本情報に加え、予後に決定に関連すると思われる項目を入れたデータベースを構築した。
|
Research Products
(2 results)