1995 Fiscal Year Annual Research Report
インスリン様成長因子(IGF)結合蛋白の病態生理的意義に関する検討
Project/Area Number |
06671058
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Research Institution | Tokyo Women's Medical College |
Principal Investigator |
肥塚 直美 東京女子医科大学, 医学部, 助教授 (80147397)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
福田 いずみ 東京女子医科大学, 医学部, 助手 (80238477)
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Keywords | インスリン様成長因子(IGF) / インスリン様成長因子結合蛋白(IGFBP) |
Research Abstract |
種々の病態における血中および培養液中のIGFBPsについて検討を加え、本年度は以下に示す知見を得た。 1)慢性腎不全でIGFBP-2,3,-6が増加することを前年度に認めたが,更に検討を加え,このIGFBPsの血中存在様式を検討した。IGFは血中ではその大部分がIGFBPと結合し150kDaおよび40kDa複合体として存在するが,健常人では150kDa複合体が主なものである。慢性腎不全では40kDa複合体が増加し,150kDa複合体の割合は低下していた。この40kDa複合体のIGFBPsをWestern ligand blotで検討したところ,IGFBP-6,-2の増加を認め,慢性腎不全ではIGFがIGFBP-2,-6の二量体を形成し,その二量体が増加していることを認めた。2)IGFは骨形成に促進的に作用し,IGFBP-4は骨形成に抑制的に,IGFBP-5は促進的に作用することが示されている。これまでのin vitroの成績は主にはマウスやラットの骨芽細胞で検討されているが、骨でのIGF,IGFBP系には種差があり、こららの動物細胞による成績をヒトには適用できない問題がある。そこで,本研究では手術標本や生検標本より得られた骨組織より骨芽細胞を培養し,この培養ヒト骨芽細胞を用いて検討した。培養ヒト骨芽細胞は主としてIGFBP-3,-4をCa濃度依存性に産生した。このIGFBPsの産生に及ぼす1,25-(OH)_2D_3(D_3)および17β-E_2の作用について検討した。D_3は細胞増殖を抑制しオステオカルシン産生を増加させたが,この際の培養液中のIGFBP-3,-4は増加した。また17β-E_2IGFBP-3,-4を増加させた。これらの成績は骨代謝調節因子が骨芽細胞のIGFBPsの産生を調節することを認めたが,IGFBPsが如何に骨におけるIGFの作用を調節しているのか今後の問題である。
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[Publications] 福田いずみ,肥塚直美: "膵外腫瘍に伴う低血糖" 内分泌糖尿病科. 1. 210-215 (1995)
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[Publications] 肥塚直美: "IGFの構造と生理作用" 内分泌糖尿病科. 1. 441-448 (1995)
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[Publications] Yoshida T et al.: "Growth hormone (GH) secretory dynamic in a case of acromegalic gigantism associated with byperprolactinemia: Naupulsatile secretion of GH may lnduce elevated insulin-like growth factor-I (IGF-I) and IGF-binding proteins-3 levels" J clin Endocrinol metab.81. 310-313 (1996)
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[Publications] Hizuka N et al.: "Hypoglycemic effect of IGF-II is acted through mainly insulin and/or IGF-I receptor but not IGF-II receptor" Clinical Pediatric Endocrinology. (in press). (1996)