1995 Fiscal Year Annual Research Report
インスリン様成長因子-II(IGF-II)の生物学的作用と病態生理学的意義の検討
Project/Area Number |
06671059
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Research Institution | Tokyo Women's Medical College |
Principal Investigator |
高野 加寿恵 東京女子医科大学, 医学部, 教授 (50096608)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
福田 いずみ 東京女子医科大学, 医学部, 助手 (80238477)
肥塚 直美 東京女子医科大学, 医学部, 助教授 (80147397)
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Keywords | インスリン様成長因子 / IGF-II / IGF-I / IGF結合蛋白 |
Research Abstract |
IGF-IIの生物作用と病態生理的意義を明らかにするため以下の検討を行った。1)低血糖を呈する膵外腫瘍(NICTH)におけるIGF-IIに関する検討:IGF-II遺伝子はgenomic imprintingされているが,ある種の胎児性腫瘍でloss of imprinting(LOI)されていることが報告されている。IGF-II産生NICTHでも検討したところ6例中5例でLOIを認め,このLOIがIGF-IIの過剰発現に関与している可能性が考えられた。更に,NICTH以外の腫瘍についても検討し,副腎腫瘍,胃神経線維腫でLOIを認めた。これら腫瘍におけるIGF-IIのLOIと腫瘍発育の関係についても検討を進める予定である。2)インスリン抵抗性肥満マウスにおけるIGF-IIの低血糖作用に関する検討:IGF-1,IGF-IIともインスリン抵抗性肥満マウスにおいて血糖降下作用を示した。この作用機序を明かにするため,IGF-I,インスリン,IGF-IIの各受容体への親和性を変化させたIGF-IIの誘導体を用いて検討したところ,IGF-I/インスリン受容体の親和性に比例して血糖降下作用は大であった。この成績はインスリン抵抗状態においてはIGF-I受容体を介して血糖降下をきたすと考えられた。3)現在行われているIGF-IIのRIA測定にはIGF結合蛋白(IGFBP)が干渉し,その測定値に影響を及ぼしている。現時点でIGFBPを分離するためのRIA測定の前処理として優れているのはゲル濾過法である。そこでIGFBPsの干渉なしに高感度にかつ簡便にIGF-IIを検出しうるWestern dotblot(WDB)法を確立した。このWOD系を用いて脳脊髄液中のIGF-IIを測定し,ゲルろ過で前処理してRIAで測定したIGF-IIを比較した。WODで測定したIGF-IIはゲルろ過処理RIA値と良く相関し(r=0.96),脳脊髄液中のIGF-II値はWODにより簡便に評価しうると考えられた。
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[Publications] Takano K et al.: "Psychosocial adjustment in a large cohort of GH depicient adult Treated with GH in childhood -Summary of a questionnaire survey-" Acta Poediatrica. 399. 16-19 (1994)
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[Publications] 福田いずみ,肥塚直美: "膵外腫瘍に伴う低血糖" 内分泌糖尿病科. 1. 210-215 (1995)
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[Publications] 肥塚 直美: "IGFの構造と生理作用" 内分泌糖尿病科. 1. 441-448 (1995)
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[Publications] Takano K et al.: "Long-Term effects of growth hormone treatment on height in Turner syndrome: Pesults of a 6year raultientre stady in Japan" Horm. Res.43. 141-143 (1995)
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[Publications] Hizuka N et al.: "Hypoglycemic effect of IGF-II is acted through mainly insulin and/or IGF-I receptor but not IGF-II receptor" Clinical Pediatric Endocrinology. (in press). (1996)
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[Publications] Takano K et al.: "Turner Syndrome in A Life Span Perspective: Research and Clinical Aspects" Elsevier, 9 (1995)