1995 Fiscal Year Annual Research Report
ミトコンドリア遺伝子異常と糖尿病の発症進展に関する研究
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06671064
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Research Institution | Okinaka Memorial institute for Medical Research |
Principal Investigator |
小林 哲郎 財団法人冲中記念成人病研究所, 研究員 (30113442)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
中西 幸二 財団法人冲中記念成人病研究所, 研究員 (80211423)
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Keywords | ミトコンドリア遺伝子 / 糖尿病 / ミトコンドリア酵素 / β細胞 / アミロイド |
Research Abstract |
(目的と方法)本研究においては、ミトコンドリアDNAの3243番変異(mtDNA3243変異)と糖尿病の発症との関係を明らかにするため、14例のIDDM,10例のNIDDM、10例の非糖尿病対照者において、組織化学的および病理組織学的に膵島のβ細胞数、ミトコンドリア酵素活性を検討した。さらにmtDNA3243変異を有する31例の糖尿病において、その血中の膵島細胞抗体(ICA)およびHLA-DQ遺伝子に関して検討した。 (成績)IDDM14例中1例にmtDNA3243変異を有する例が認められた。この膵組織においてはβ細胞が0.22gと対照者の例における1.49g±0.22g(平均±SE)およびNIDDMにおける2.2±0.78gに比べ著明な低下が認められた。また膵外分泌腺の萎縮が著明に認められた。膵島細胞におけるcytochrome c oxidase(COX)活性はmtDNA3243変異例で認められなかったのに対し、変異のないIDDM,NIDDM例および非糖尿病対照者においては高濃度で認められた。一方、変異例ではsuccinate dehydrogenase(SDH)の酵素活性が亢進している所見が認められた。 mtDNA3243変異例31例中13例(42%)においてICA陽性を示した。HLA-DQA1^*0301がICA陽性のmtDNA3243陽性例で高頻度に認められた。 (結論)本年度の研究ではmtDNA3243変異例において、著明なβ細胞の脱落とCOXの活性の低下SDHの亢進が認められ、糖尿病の病因との関連が示唆された。さらにmtDNA3243変異糖尿病例では膵島に対する自己抗体、HLA-DQA1^*0301を高頻度に認め、自己免疫異常の要因も関与している可能性が示唆された。
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