1994 Fiscal Year Annual Research Report
プロテインキナーゼC分子群の遺伝子導入による分泌制御機構の解析
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06671065
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Research Institution | Tokyo Metropolitan Organization for Medical Research |
Principal Investigator |
秋田 朗子 財団法人 東京都臨床医学総合研究所, 遺伝情報研究部門, 研究員 (40124432)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
大野 茂男 横浜市立大学, 医学部, 教授 (10142027)
矢島 由紀子 財団法人 東京都臨床医学総合研究所, 遺伝情報研究部門, 研究員 (60090114)
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Keywords | プロテインキナーゼC / ホルモン / 分泌機構 / 遺伝子導入 / 下垂体細胞 / 分子生物学 |
Research Abstract |
プロテインキナーゼC(PKC)は、種々のペプチドホルモンや神経伝達物質の分泌制御に深く関与している蛋白質リン酸化酵素群である。しかし、分泌経路におけるPKCの作用点とその役割については依然不明のままである。 本研究は、ラット下垂体腫瘍由来のGH4C1細胞を分泌細胞のモデル系として、分子生物学的手法により、プロラクチン(PRL)分泌制御機構に介在するPKC分子種の活性化機構と作用機序について解明することを目的として、平成6年度より開始した。 初年度は、GH4C1細胞には、α、βII、δ、ε、ζ、ηの6種類のPKC分子種が発現しているが(βI、γ、θ、λは発現していない)、このうちメッセンジャーが最も多いεが視床下部ホルモンのTRH(thyrotropin-releasing hormone)の刺激によって細胞内から選択的に消失(ダウンレギュレーション)することを示した。更に、遺伝子導入法によって樹立したε高発現細胞株を用いた詳細な解析から、TRH刺激によるPRL分泌過程においてεが律速酵素として重要な役割を果たしていることを証明した。他方、α、βII、δのPKC分子種については極微量の酵素活性が関与していることを示唆する結果を得た。これらの分子種については、ネガチブトミナントの開発による解析が有効であると考え、PKC分子内の自己リン酸化部位を変異させた改変cDNAをいくつか構築し、現在検討中である。又、PKCの作用点の解析では、TRH刺激に伴ってリン酸化レベルの増加する蛋白質がいくつか存在し、このうちPKCインヒビターでリン酸化が抑制されるものは複数個あることが判明した。εは、これらのPKC基質のいずれかの蛋白質を特異的にリン酸化し、ホルモン分泌を制御していると考える。
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Research Products
(5 results)
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[Publications] Akita,Y.,et,al.: "Overproduction of a Ca^<2+>-1ndependent protein kinase C isozyme,mPKCε,increases the secretion of prolactin from thyrotropin-releasing hormone-stimulated rat pituitary CH_4C_1 cells." J.Biol.Chem.269. 4653-4660 (1994)
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[Publications] Nagao,S.,et,al.: "Calpain-calpastatin interactions in epidermoid carcinoma KB cells." J.Bio Chem.115. 1178-1184 (1994)
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[Publications] Ohno,S.,et,al.: "Activation of nPKCδ and ε upon mitogenic stimulation of quiescent rat 3Y1 fibroblasts." J.Biol.Chem.269. 17495-17501 (1994)
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[Publications] 秋田朗子: "組織培養 20:分泌応答の制御とプロテインキナーゼC" ニュー・サイエンス社, 5 (1994)
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[Publications] Suzuki,K.,et.al.: "Recent Advances in Molecular and Biochemical Research on Proteins" World Scientific Pub.Co., 10 (1994)