1994 Fiscal Year Annual Research Report
白血病細胞におけるPCR法を用いた抗癌剤感受性試験とその臨床応用に関する研究
Project/Area Number |
06671084
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Research Institution | 福井医科大学 |
Principal Investigator |
谷澤 昭彦 福井医科大学, 医学部, 助手 (50227229)
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Keywords | 白血病 / DNA障害 / 薬剤感受性 / ポリメラーゼチェーンリアクシヨン |
Research Abstract |
1.培養細胞を用いた基礎実験: 株化白血病細胞であるK562を用いて、bcr遺伝子とabl遺伝子の転座領域の塩基配列を決定、その配列にもとずいて転座領域のみを増幅するプライマーを作成した。PCR法の検出感度及び定量性について検討するために、薬剤処理細胞からのDNA抽出方法、PCR増幅の温度設定、反応回数等につき比較検討を加えた。Daunomycin等のDNAにインターカレートする薬剤が反応液中に混入するとそれ自体がPCR反応を阻害するため、薬剤によってDNA抽出方法に留意する必要がある。また最近多くの抗癌剤がin vitroでアポトーシスを引き起こすことが知られており、抗癌剤の直接的なDNA障害ではないがヌクレオソーム単位の二本鎖DNA切断がこのPCRの実験系で検出できるか検討を加える予定である。インターカレートしないVP-16についてコロニー形成能を指標として感受性試験を行うとともに、薬剤処理後のDNAを用いてPCRを行い比較した。PCR法で検出できるVP-16による増幅の変化、すなわちDNA障害の量はコロニー形成能からみた殺細胞効果のVP-16濃度より高濃度の処理が必要であった。生体で得られるような血中濃度の範囲内で検討できるように今後薬剤の処理時間による変化を見て、より低濃度の処理で検出できるように改善する必要がある。 2.臨床症例への応用: 準備段階として、現在当院小児科にて治療中、また経過観察中の白血病患者の骨髄細胞を定期的に凍結保存している。また染色体異常ではないが小児に多い急性リンパ性白血病患者についてはT細胞受容体、免疫グロブリン鎖再構成部位の塩基配列を決定することをはじめており、白血病細胞に特異的な塩基配列を決定できた症例では微小残存病変の検索を含めPCRによる薬剤感受性検査を応用したい。
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