1995 Fiscal Year Annual Research Report
免疫グロブリンアミロイドシスの発症機序におけるL鎖上の糖鎖の役割
Project/Area Number |
06671103
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Research Institution | Kumamoto University |
Principal Investigator |
鍵本 忠 熊本大学, 医療技術短期大学部, 教授 (30040273)
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Keywords | Bence Jones protein / plasma cell dyscrasia / amyloidosis / myeloma kidney |
Research Abstract |
免疫グロブリンアミロイドシス(以下「ア」症)は、多発性骨髄腫由来であることが多く、両疾患の境界・移行型を示唆する症例もあり、その関連性は深い。従って、「ア症」の病態を論じる場合は、多発性骨髄腫と同時に、比較検討することが望ましい。両疾患に共通する尿中BJPの分子特性を、従来とは異なった視点、即ち最近の分子生物学がもたらした重要な課題・糖鎖構造の観点から検索することが必要になる。 BJP上の糖鎖には、2種類の3本鎖と、3種類の2本鎖を認めた。この3本鎖は新たに発見されたものである。形質細胞腫20症例で、病勢・病態とBJP上の糖鎖構造を比較検討すると、3本鎖は、形質細胞腫の腎機能障害、即ち血清クレアチニンと逆相関して、疾患の予後判定に有効な指標となることが判明した。 BJPにおける3種類の2本鎖糖鎖は、複数の研究機関から既に発表されているが、その分子病理学的意義については、不詳のまま放置されていた。その原因は、これらの研究が散発的に解析されたに過ぎないからである、と考えられる。系統的且つ思惟的に行われた今回の研究の結果、2本鎖糖鎖の一つ、即ちfucocylated biantenarry oligosaccharides、が「ア症」の尿中BJPにおいて有意に低値を示した。即ち、この糖鎖が組織沈着して「ア」症をおこしていると、考えられる。 これらの事実から、BJP上の糖鎖構造の違いによって組織沈着の差異があることが示唆された。今後は、沈着臓器からBJPを抽出して、この示唆を実証する必要がある。
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Research Products
(1 results)