1995 Fiscal Year Annual Research Report
PNHの多能性幹細胞における補体防御膜蛋白の形質発現とPIG-Aの遺伝子異常
Project/Area Number |
06671104
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Research Institution | Fukushima Medical College |
Principal Investigator |
七島 勉 福島県立医科大学, 医学部, 講師 (10192105)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
寺澤 崇 奥羽大学, 歯学部, 助教授 (40083422)
丸山 幸夫 福島県立医科大学, 医学部, 教授 (90004712)
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Keywords | 発作性夜間血色素尿症(PNH) / PIG-A / GPIアンカー膜蛋白 / 多核好中球 / Tリンパ球 / CD34陽性細胞 |
Research Abstract |
本年度はPNHの造血幹細胞(CD34陽性細胞)におけるPIG-Aの異常性に関する検討には至らなかったが、骨髄系幹細胞より分化した代表として多核好中球又、リンパ系幹細胞の代表としてTリンパ球を抽出し、各々の細胞についてのPIG-Aの異常性を検討した。 1.対象および方法:PNH4例の多核好中球およびTリンパ球を対象とした。多核好中球の分離には高分子デキストランを用い又、Tリンパ球の分離にはイムノビーズ法を用いた。各症例の各々の血球におけるGlycosylphosphatidylinositol(以下GPI)アンカー膜蛋白の形質発現は、CD55およびCD59モノクローナル抗体を用いたフローサイトメトリーによるTwo-color analysisにより判定した。さらに、各症例の多核好中球より得られたRNAおよびDNAを各症例に適したPIG-Aのプライマーを用いてPCRを行い、アガロースゲル電気泳動後ナイロンメンブレンにトランスファーした。次にDIGラベルPIG-A cDNAプローブを用いてSouthern blotを行うとともに、PCR産物をpBluescriptベクターに入れてクローニングを行った。最後に各症例の様々なプライマーにより増幅されたPIG-A cDNAのクローンの各々20個ずつにおいて、DNAシークエンスを行った。但し、以上の遺伝子学的検索はTリンパ球においてはDNAについてのみ施行した。又、コントロールとしては健常者の多核好中球およびTリンパ球とを用いた(PNH3例に関しては完全に施行されたが、1例は現在実験中である)。 2.結果:1)健常者多核好中球のCD55およびCD59の発現はSingle double-positive populationを示したのに対し、PNH症例では全症例において欠損した細胞群が観察された。一方、PNH症例のTリンパ球においては4例中1例にのみGPIアンカー膜蛋白の欠損がみられた。2)PNH症例のPCR産物のSouthernblotによる分析では健常者が3本のバンドを示したのに対し、3例中2例が5本、1例が3本のバンドであった。3)その異常性についてPT-PCR産物においてDNAシークエンスにより解析すると、Exon 5(GTTG→TATG)、Exon 3(TAGG→GTGG)およびExon 2(T→C)であり、前2者の場合にはExon 5の 207 bpおよびExon 3の133 bpの塩基欠損が観察された。4)DNAのPCR産物について同様のシークエンスを施行した所、同様の異常が確認された。5)異常クローンの割合と多核好中球のdouble-negative populationとの割合は必ずしも一致するものでなかったが、GPIアンカー膜蛋白の欠損もみられないTリンパ球においてはPIG-Aの異常も観察されなかった。 3.今後の研究方針:上述した研究内容を論文として現在投稿準備中である。又、上述した方法を用いる事により当初の目的であったCD34陽性細胞におけるPIG-Aの異常性についての検討は可能であり、この結果が出れば今後PNHに対する遺伝子治療の道が開かれてくる可能性があると考えられる。
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Research Products
(1 results)