1994 Fiscal Year Annual Research Report
フォン・ビルブラント因子に存在する血液型糖鎖の構造と機能に関する基礎的研究
Project/Area Number |
06671118
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Research Institution | Fujita Health University |
Principal Investigator |
松井 太衛 藤田保健衛生大学, 総合医科学研究所, 助手 (90183946)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
千谷 晃一 藤田保健衛生大学, 総合医科学研究所, 教授 (60179942)
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Keywords | ABO血液型 / フォン・ビルブラント因子 / 第VIII因子濃縮製剤 / ELISA / 血漿糖タンパク質 / 凝固因子 |
Research Abstract |
1)市販第VIII因子濃縮製剤について、製剤中のフォン・ビルブラント因子(vWF)にIgM又はIgGが結合しているか否かをサンドイッチELISA法を用いて調べた。コンファクトFでは微量のIgM及びIgGが、また、ヘマ-テPではIgMが検出された。高純度製剤であるヘモフィルMとクロスエイトMではいずれも検出されなかった。これらのことから、中程度純化濃縮製剤ではvWF上のABO血液型抗原に反応して、おそらく自然抗体由来のIgMやIgGが微量であるが結合していることが示唆された。 2)vWF分子あたり10本含まれるSer/Thr型糖鎖にもABO血液型抗原が存在するかどうか、トリプシン分解断片を用いて調べた。トリプシンで分解して得られる52/48K断片はAsn型糖鎖一本と8本のSer/Thr型糖鎖を含んでいる。この断片をペプチド-N-グリコシダーゼFで消化すると分子量の低下とともにConAとの反応性が消失したことから、Asn型糖鎖が切断されたものと考えられた。この消化断片と抗A抗体の反応性を調べると、弱く抗A抗体と反応することがわかった。消化前後での反応性を比較すると血液型抗原量の約10%がSer/Thr型糖鎖にも存在することが明らかとなった。 3)ABO血液型抗原を持つ血漿糖タンパク質のサーベイを行い、凝固第IX因子、第X因子、第V因子及びビトロネクチンについて、精製タンパク、血漿そのものを用いてウエスタンブロット、ELISAの両面から調べたが、これらには共有結合した血液型抗原はないものと結論された。一方、血漿全体を抗血液型抗体及びレクチンでサーベイすると血液型抗原を持つ未知の成分が少なくともまだ数種類は存在することが示唆された。 4)血液型の遺伝子型をPCRを用いて調べ、ヘテロ(A/O,B/O)とホモ(A/A,B/B)間でのvWF濃度、リストセチン凝集能、ボトロセチン凝集能を比較したところ、vWFの血中濃度のみがヘテロに比べてホモ接合体の方が有意に高いことが初めて明らかとなった(Vox Sang.印刷中)。
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Research Products
(7 results)
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[Publications] Matsui,T.et al.: "Purification and characterization of two Ca^<2+>-dependent lectins from coelomic plasma of seaCucumber,Stichopus japonicus" J.Biochem.116. 1127-1133 (1994)
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[Publications] Matsui,T.et al.: "Structural analysis of N-linked oligosaccharides of eguine chorionic qonadotropin and lutropin β-subunits." Biochemistry. 33. 14039-14048 (1994)
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[Publications] Katayama,M.et al.: "Fibronectin and 130-kDa molecule complex mimics snake venom botrocetin-like structure potentially modulating association between von willebrand factor and vascular vessel wall." J.Biochem.117. 331-338 (1995)
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[Publications] Ozeki,Y.et al.: "Developmental expression of D-galactoside binding lectin in sea urchin(Anthocidaris crassispina)eggs." Exp.Cell Res.216. 318-324 (1995)
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[Publications] Shima,M.et al.: "ABO blood group genotype and plasma von Willebrand factor in normal individuals." Vox.Sang.(in press). (1995)
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[Publications] Ozeki,Y.et al.: "Tissue fibronectin is an endogenous ligand for galectin-1." Glycobiology. (in press). (1995)
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[Publications] 松井太衛: von Willebrand因子と血液型 「Annual Review血液1995」高久、宮崎、斎藤、溝口編、中外医学社, 327,269 (1995)