1994 Fiscal Year Annual Research Report
遺伝性腎性尿崩症患者におけるバゾプレッシン受容体機能異常の解明
Project/Area Number |
06671137
|
Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
安東 明夫 大阪大学, 健康体育部, 教授 (00028656)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
横山 建二 大阪大学, 医学部・附属病院, 医員
山内 淳 大阪大学, 医学部, 助手
越智 聡 大阪大学, 健康体育部, 助手 (60240850)
|
Keywords | 遺伝子異常 / ホルモン受容体 / 尿崩症 / バゾプレッシン / cAMP / G蛋白 |
Research Abstract |
我々は、幼児期より多飲多尿を呈し、同様の症状を示す者が家系内に多数存在する遺伝性腎性尿崩症患者に対してV2受容体遺伝子のDNAシークエンスを行い、V2受容体遺伝子上に一塩基の置換(^<614>A→G;^<205>Tyr→Cys)が生じていることを明らかにした。すなわちバゾプレッシン(AVP)のV2受容体への結合に重要と考えられる細胞外第2,3ループにアミノ酸変異をおこしていた。この変異V2受容体の機能異常を明らかにするために、COS細胞に変異V2受容体を発現させ、その機能異常を検討した。まず正常V2受容体cDNAをクローニングするために、腎癌患者の摘出腎の正常部分よりRNAを抽出し、RT-PCR法を用いてV2受容体cDNAを増幅分離した。患者V2受容体cDNAは正常V2受容体cDNAからsite-directed mutagenesis法を用いて作成した。それぞれのcDNAを発現ベクター(pSVL)に挿入し、さらにCOS細胞に発現させた。このCOS細胞で、^3H標識バゾプレッシン結合能とバゾプレッシン作用時の細胞内cAMP(cAMPi)産生量を検討した。その結果、患者V2受容体ではバゾプレッシン結合能は正常の約1/10に低下していた(患者KD19.8nM,正常KD1.8nM)。正常V2受容体では、cAMPiはバゾプレッシン0.1nMから増加し、1nMでプラトーに達した。一方、患者では、10nM以上の高濃度のバゾプレッシンでのみcAMPiの軽度の増加が認められた。以上の結果から、本例での腎性尿崩症の主な原因は異常V2受容体遺伝子による変異V2受容体のバゾプレッシンへの親和性低下であると考えられた。
|
-
[Publications] Nakanishi T.,Yamauchi A.,et al.: "Organic osmolytes in rat renal inner medulla are modulated by vasopressin V1 and V2 antagonists" Am.J.Physiol.267. F146-F152 (1994)
-
[Publications] Yokoyama K.,Yamauchi A.,Andou A.,et al.: "Functional abnormality of type 2 vasopressin receptor in a patient with hereditary nephrogenic diabetes insipidus." J.Am.Soc.Nephrol.5. 737- (1994)