1995 Fiscal Year Annual Research Report
慢性糸球体腎炎,とくにJgA腎症におけるミオシンアイソフォームの変化
Project/Area Number |
06671145
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Research Institution | Wakayama Medical College |
Principal Investigator |
前田 孝夫 和歌山県立医科大学, 医学部, 助教授 (80073807)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
辻 力 和歌山県立医科大学, 医学部, 教授 (50073680)
木村 章彦 和歌山県立医科大学, 医学部, 講師 (60136611)
湯川 進 和歌山県立医科大学, 医学部, 教授 (80073716)
宗 正敏 和歌山県立医科大学, 医学部, 講師 (90174119)
味村 啓司 和歌山県立医科大学, 医学部, 講師 (20174253)
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Keywords | 糸球体腎炎 / IgA腎症 / ミオシンアイソフォーム |
Research Abstract |
1.ヒト腎におけるミオシンアイソフォーム発現の検討 腎生検試料におけるミオシンアイソフォーム発現の変化:前年度に引き続き腎生検試料におけるミオシンアイソフォーム発現の変化を検討した。腎生検実施症例のうちIgA腎症では90%以上の症例において,尿細管に加えメサンギウム領域に強いHBM-1との反応が認められた。またメサンギウム細胞増殖が認められるループス腎炎や膜性腎症の一部にもメサンギウム領域にMIIBアイソフォームが発現していたが微少変化群や腎アミロイドーシスなどでは発現は認められなかった。メサンギウム領域にMIIB2を発現しているIgA腎症試料は何れもproliferating cell nuclear antigen(PCNA)陰性であることより、細胞の増殖との関係は否定的であった。 2.ddYマウス腎病変におけるミオシンアイソフォーム発現の変化:40週齢まで飼育を重ねたddYマウスでは腎病変を形成していない若齢のマウスに比べてMIIB2アイソフォームの強い発現が見られた。 3.メサンギウム増殖性腎炎におけるMIIB2アイソフォーム発現の意義(抗Thy-1糸球体腎炎ラットにおけるミオシンアイソフォーム発現の変化):抗Thy-1抗体OX7投与後のラット腎では4〜7日でメサンギウム細胞の増殖が顕著であり,このことは細胞増殖のマーカーであるPCNAを用いた免疫組織染色でも確認された。一方メサンギウム領域におけるMIIB2の発現は投与後7日より認められ,30日目まで発現を確認できた。このことはメサンギウム細胞におけるMIIB2アイソフォームの発現が細胞増殖以外の形質転換と関連することを示すものと考えられた。 以上示したように,本研究課題の主要な目的は達成されたものと考えられる。今後さらに疾患の予後とMIIB2アイソフォームの発現との関連について検討を進める予定である。
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