1994 Fiscal Year Annual Research Report
乳癌における乳管内進展病巣の生物学的特性と治療反応性の研究
Project/Area Number |
06671178
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
大内 憲明 東北大学, 医学部, 助手 (90203710)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
森 昌造 東北大学, 医学部, 教授 (70004877)
高橋 徹 東北大学, 加齢医学研究所, 教授 (10004590)
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Keywords | 癌遺伝子 / 癌関連抗原 / 乳癌 / 乳管内進展 / 3次元構築 / 乳房温存療法 |
Research Abstract |
1)癌および異型病変の生物学的特性の解析:乳腺病変における癌遺伝子産物(c-erbB-2,ras p21蛋白)および乳癌関連抗原(MUC1,TAG-72,AM)の発現を免疫組織化学的に検討した。その結果、いずれも浸潤癌において強い発現が認められたが、正常および良性病変では殆ど認められなかった。一方、非浸潤癌ならびに異型上皮過形成(ADH)ではras p21蛋白、MUC1およびAM抗原の発現が認められた。 2)コンピュータグラフィックス3次元構築により、乳癌の進展様式を解析し、乳管内進展を「非浸潤巣が末梢乳管域を超え、中心乳管へ進展していること、または中心乳管域に明らかな非浸潤巣を認めること(intraductal spreading of carcinoma,ISC)」と定義した。乳管内進展は温存療法における乳房内再発の危険因子として明らかになりつつあり、乳管小葉系の構造に立脚した癌進展の解析は極めて重要である。 3)生物学的特性に基づく乳癌の発生および進展の解析:抗c-erbB-2抗体(pAb1)、抗MUC1抗体(DF3)、およびAM抗原を認識するAM-1抗体を用いて、乳管内増殖性病変におけるc-erbB-2蛋白、乳癌関連抗原の発現を解析した。その結果、乳管内癌のみならず、異型上皮過形成においてもMUC1およびAM抗原の発現が認められた。この結果は乳癌に併存する乳管内進展病巣が悪性の可能性(malignant potential)を有することを示し、乳房温存療法における癌の乳管内進展の生物学的意義が明らかとなった。 4)乳房部分切除術への応用:本研究により乳管内病変が末梢から連続的に、または非連続的に進展すること、乳管内進展病巣がmalignant potentialを有することが確認できた。さらに癌の進展を乳管小葉系との関連で定義することで、より正確な癌の進展状態を把握することが可能となった。一方、臨床的には40例の温存術標本の解析で、18例に中等度-高度な癌の乳管内進展を認め、うち3例に乳房内がん再発を認めたが、乳管内進展なしまたは軽度の22例では1列にのみ乳房内再発を認めた。今後、乳管内進展を示す乳癌に対する内分泌療法、化学療法または照射療法などの治療反応性を検討する方針である。
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Research Products
(7 results)
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[Publications] Ohuchi N,: "Management of duct carcinoma in situ sith nipple discharge:intraductal spreading of carcinoma is unfavorable pathologic factor for breast conserving surgery." Cancer. 74. 1294-1302 (1994)
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[Publications] Ohuchi N,: "Menbrane glycoproteins and oncogenes as markers in breast Cancer." Cancer Mol.,Biol.1. 179-192 (1994)
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[Publications] Kande T,: "Stimulation of polymavirus DNA replication by wild-type p53 through the DNA binding site." Mol.Cell.Biol.,. 14. 2651-2663 (1994)
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[Publications] Ohuchi N,: "Characterization of cell surface antigens expressed in HMA-1 breast cancer cell line." Jpn.J.Surg.(in press).
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[Publications] Ohuchi N,: "Comparison of sensitivities among breast cancer screening modalities with or without mammography:" miyagi trial.Jpn.J Cancer Res.,. (in press).
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[Publications] Harada Y,: "Breast cancer-associated antigen defined by monoclonal antibody against HMA-1 cell line." Jpn.J.Surg.(in press).
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[Publications] 大内憲明: "メジカルビュー社、(東京)" 乳房温存療法のすべて:温存療法で問題となる乳癌の生物学的特性。, 10 (1994)