1995 Fiscal Year Annual Research Report
MNMSにおける組織因子活性化と全身に及ぼす影響についての研究
Project/Area Number |
06671195
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Research Institution | Hamamatsu University School of Medicine |
Principal Investigator |
金子 寛 浜松医科大学, 医学部・附属病院, 助手 (10204562)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
蜂谷 貴 浜松医科大学, 医学部, 助手 (70238020)
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Keywords | MNMS / 組織因子 |
Research Abstract |
Wister系雄性ラット10匹(220〜250g)において次の実験を行った。 ペントバルビタール腹腔内投与下に開腹し、腎動脈下腹部大動脈を剥離した。 腹部大動脈遮断による大腿筋の虚血の程度を知るためレーザードップラー組織血流計にて大腿筋の血流量を経時的に測定した。虚血再灌流群では、遮断前の6.0ml/tissue/minから、遮断5分後には2.3ml/tissue/minにまで減少し、180分後には5.9ml/tissue/minまで増加した。ここで遮断解除すると10秒後に22.0ml/tissue/minに急上昇したが遮断解除30分後には8.1ml/tissue/minまで減少した。遮断を継続したラットの大腿筋血流量は遮断前の7.2ml/tissue/minから、遮断5時間後には2.6ml/tissue/minにまで減少し、20時間後には5.1ml/tissue/minまで増加した。これらの遠隔臓器障害として肺の変化を検討するため肺を採取し保存した。 臨床的には急性腹部大動脈閉塞を1例経験した。この症例は下腹部以下両下肢に至る広範な虚血を伴い、術後はMNMSに陥り腎不全となった。持続血液濾過を行い対応したが第4病日に死亡した。この症例の凝固線溶系因子の変化をみると、第1病日にはFDP-DDが33.8μg/ml、PICが2.8μg/ml、TATが31.0ng/mlと著明に上昇し、凝固・線溶系の活性化がみられた。しかしフィブリノーゲンは284mg/dlと正常、血小板は13.2万と軽度低下していたのみであった。第2病日以降はFDP-DDが12.9μg/ml、PICが0.3<μg/mlと低下し線溶の抑制がみられ、TATは44.6ng/mlと上昇し凝固の活性化が続いた。しかしフィブリノーゲンは467mg/dlと増加したが、血小板は5.6万と著減していた。今後症例を増やしMNMSにおける凝固線溶系の変化を検討するとともに、血栓塞栓除去術前後の組織因子活性を測定する予定である。
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