1994 Fiscal Year Annual Research Report
肝集積性を高めたアロ白血球投与法による免疫寛容の誘導
Project/Area Number |
06671205
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Research Institution | Okayama University |
Principal Investigator |
田中 紀章 岡山大学, 医学部, 助教授 (10127566)
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Keywords | 免疫寛容 / キメリズム / 白血球 / ノイラミニダーゼ / 門脈内注入 / ラット |
Research Abstract |
アロ抗原の門柱により免疫寛容状態が誘導されることについてmicrochimerismの観点より、門柱後のアロ細胞の動態について細胞蛍光標識法により研究を行った。 動物はドナーにBrown-Norway(BN、RT-1^n)、レシピエントにLewis(LEW,RT1^1)雄性ラットを用いた。この組み合わせは門柱により移植腎の生着延長効果が確認されている。ドナー脾細胞を細胞膜脂質親和性を利用した細胞蛍光標識法(PKH26)により染色し、1×10^8個を門脈内投与(PV群)および末梢静脈投与(IV群)を行った。投与後8週まで経時的に肝臓、胸線および脾臓の各凍結切片を作成し、蛍光顕微鏡下に観察した。 ドナー細胞投与後1週目の肝臓では、蛍光陽性細胞は主として肝小葉の門脈域類洞内に観察される傾向があった。IV群に比べ、PV群は約6倍と多く、胸線では主として脾髄境界部に蛍光陽性細胞を認め,IV群に比べやはりPV群に多く観察された。その後経時的に肝臓と胸線では蛍光陽性細胞は減少し、IV・PVの両群での差がなくなったが、8週目においても観察された。一方脾臓ではわずかに減少するものの8週までも多数の蛍光陽性細胞が観察された。ドナーとレシピエント間のMLRも併せて行った。刺激細胞はMMC処理したBNラットPBL 3×10^5個、反応細胞はPVあるいはIV群のLEWラットPBL 3×10^5個を用いた。4日間培養後,^3H-thymidineの取り込みを測定し、stimulation indexを算出した。その結果はアロ脾細胞投与後1週目においてPV群ではMLR抑制を認め、2、4週に投与前のレベルに戻った。 各臓器で観察された蛍光陽性細胞は形態的に樹状細胞様であった。さらにその同定をすべく、凍結切片での蛍光抗体法による細胞表面マーカーの検索を行っている。この手法は宿主体内のキメリズムの解析に有効であり、今後は移入細胞の定着した微小環境におけるレシピエント免疫担当細胞の特性を検討する予定である。
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