1995 Fiscal Year Annual Research Report
肝集積性を高めたアロ白血球投与法による免疫寛容の誘導
Project/Area Number |
06671205
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Research Institution | Okayama University |
Principal Investigator |
田中 紀章 岡山大学, 医学部, 助教授 (10127566)
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Keywords | 免疫寛容 / 門脈内投与 / 移植免疫 / microchimerism |
Research Abstract |
ドナー細胞の門脈内投与(PV)による免疫寛容の誘導に関する基礎的研究とその効果とドナー細胞の肝集積性の関係について研究した。ドナーBNラット、レシピエントLewisラットの組み合わせにおいて、ドナー脾細胞を1×10^8に調製し、PVあるいは末梢静脈投与(IV)した。免疫寛容の指標にはリンパ球混合培養反応(MLR)と異所性心移植を用いた。MLRによれば1週目においてPVでのみその抑制効果が観察され、IVやPVの2週目以降には認められなかった。螢光色素で標識した脾細胞投与実験では、肝臓の凍結切片による蛍光顕微鏡観察では1週目までIVよりもPV群により多くの蛍光陽性細胞を観察した。この細胞は大型で樹状の突起をもち、クラスII抗原が強陽性であることより樹状細胞であることが示唆された。また投与した細胞の集積性を定量化するため肝臓をコラゲナーゼ処理後、比重遠沈法により肝非実質細胞を遊離し、これをFACS解析した。蛍光陰性、軽度陽性および投与細胞に相当する蛍光強陽性の3群の細胞に分けることが可能であった。3日目では蛍光強陽性細胞数はIV1%に比してPV3%と多かったが、7日目以降はさらに減少し、差は認めなかった。また異所性心移植において非投与に比べ、PVのみでは軽度の生着延長を見たが(7.8→11.7日)、生着延長をもたらさない少量のシクロスポリン投与の併用により著しい生着延長が得られた(21.7日)。現在少量のシクロスポリンなどの免疫抑制剤の投与によるドナー細胞の肝集積性の増強効果と、FACS解析における2種類の蛍光陽性細胞の機能についても解析中である。
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