1995 Fiscal Year Annual Research Report
胃癌手術後の腹腔内残存胃癌病巣に対するマイクロ波力学的治療の開発に関する研究
Project/Area Number |
06671222
|
Research Institution | Wakayama Medical School |
Principal Investigator |
永井 祐吾 和歌山県立医科大学, 医学部, 講師 (00172495)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
椿原 秀明 和歌山県立医科大学, 医学部, 助手 (20244741)
谷村 弘 和歌山県立医科大学, 医学部, 教授 (10026990)
|
Keywords | Polyhematoporphyrin ether / w / o / wエマルション / マイクロ波 |
Research Abstract |
1.w/o/w型Polyhematoporphyrin ether(PHE)エマルション(含有率0.5mg/ml)の腫瘍集積性をウサギ大腿部に移植したVX2腫瘍を用いて測定した.ウサギ大腿部皮下のVX2腫瘍が約1.5cmになった時点で,w/o/w型 PHEエマルションを腫瘍周囲に局注し,6時間後に腫瘍および血清中のPHE濃度をHPLC法にて測定した.対照はPHE水溶液の静注とした.(各n=5)その結果,w/o/w型PHEエマルション局注群ではPHE水溶液静注群(PHE2mg/kg)の1/4量にもかかわらず,腫瘍内濃度が10.7±0.1μg/gと,従来の投与法である静注群と同等の腫瘍内濃度が得られた.一方,副作用に大きく影響する血清中濃度はわれわれの方法では検出限界の2.5μg/ml以下であり,静注群の8.1±0.9μg/mlと比較して有意に低かった.またエマルションを局注した6時間後の肝,胃,小腸,皮膚についても,いずれも検出限界以下であった.以上より,w/o/w型PHEエマルションの局所投与は全身投与に比較してはるかに投与量が少なくても,従来の全身投与と同等の腫瘍内濃度を得ることが可能であり,血中ならびに腹腔内諸臓器の濃度を上昇させることがないので,副作用を激減できる可能性があることが判明した. 本研究補助金で新しく作成したマイクロ波コイル状電極を用いると,腫瘍から2.5cmの位置より30wattのマイクロ波照射で,温度上昇は約40°Cに留めながら,かつ,直径1cmの腫瘍全体にマイクロ波を照射できることが明らかになった. ウサギ大腿部に移植したVX2腫瘍(腫瘍1.0±0.2cm)に対しw/o/w型PHEエマルションを局所投与し,6時間後に先の条件(30watt,15分)で腫瘍全体にマイクロ波照射し,7日後の腫瘍縮小率をUSにて測定し,腫瘍縮小効果をマイクロ波照射群,PHE水溶液静注群と比較した結果,マイクロ波照射単独では腫瘍は増大傾向を示したのに対し,w/o/w型PHEエマルション局注群では89.8±12.1%,静注群では77.4±20.7%の腫瘍縮小効果を認めた.これらの研究結果は,PHEを集積させた腫瘍に対して,従来のレーザーのみではなく,マイクロ波によるマイクロ波力学的治療でも抗腫瘍効果の得られることを初めて明らかにすることができたといえる.
|