1994 Fiscal Year Annual Research Report
貯血困難例に対する自己血輸血法:MAP採血とエリスロポエチンの利用
Project/Area Number |
06671223
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Research Institution | Saitama Medical University |
Principal Investigator |
前田 平生 埼玉医科大学, 医学部, 教授 (30134597)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
宍倉 祐子 埼玉医科大学, 医学部, 助手 (80181105)
遠山 博 埼玉医科大学, 医学部, 教授 (00008278)
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Keywords | 自己血輸血 / 婦人科悪性腫瘍 / エリスロポエチン |
Research Abstract |
一般的に貯血困難と考えられる婦人科悪性疾患を対象に自己血輸血を試みた.これまでの輸血症例の検討から,対象は子宮頸癌(stage Ia),子宮体癌(stage Ib),卵巣癌(stage 1a)以上で根治手術を受ける症例とし,平成6年度は10症例を対象に自己血輸血を施行した.このうち6例にエリスロポエチン(EPO)を使用した.1回採血量は200〜400mlで,3〜11日間に2〜3回の採血を行い,600〜1200mlの貯血をした.EPO使用6例,EPO非使用4例の貯血前Hb値,術前Hb値,貯血量,Hb濃度増加量は以下のごとくであった. 貯血前Hb値 術前Hb値 貯血量(ml) Hb濃度増加量(g/dl) 貯血期間 EPO使用6例 11.8±0.9 10.8±0.5 867±249 1.90±0.60 15.8±6.2 EPO非使用4例 11.6±1.3 10.2±0.5 715±249 0.82±0.90 12.3±3.6 EPO使用群ではHb濃度増加量が,非使用群に比較して大きく,全例同種血輸血を必要としなかったが,EPO非使用群では1例同種血輸血を必要とした.また,EPO非使用群では,使用群に比較して術後Hb値が低下し,術後1カ月まで低値が続いた.以上,体重,採血時Hb値を参考にして1回採血量を決定し,EPOを使用すれば,悪性疾患で低体重,貧血症例でも安全な採血,必要量の貯血が可能であり.同種血輸血が回避できることが示唆された.
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[Publications] 前田平生: "エリスロポエチンと自己血輸血" Modern Physian. 14. 255-257 (1994)
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[Publications] 前田平生: "自己血輸血とは" 造血因子. 5. 132-136 (1994)
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[Publications] 前田平生: "Up date注目の新薬'94.エポエチンベータ" 現代医療. 26. 322-325 (1994)
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[Publications] 黒牧謙一: "妊婦に対する自己血輸血法に関する検討" 日産婦会誌. 46. 1213-1220 (1994)
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[Publications] 前田平生: "整形外科領域における自己血輸血施行患者に対するエポエチンベータ(EPOCH)の臨床評価-皮下投与法による第III相臨床試験-" 診療と新薬. 32. 137-157 (1995)