1994 Fiscal Year Annual Research Report
消化器癌転移過程におけるマトリックス分解酵素の遺伝子発現に関する基礎的検討
Project/Area Number |
06671227
|
Research Institution | Keio University |
Principal Investigator |
大谷 吉秀 慶應義塾大学, 医学部・外科学教室, 助手 (20168983)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
桜井 嘉彦 慶應義塾大学, 医学部・外科学教室, 助手 (90245514)
亀山 香織 慶應義塾大学, 医学部・病理学教室, 助手 (10245467)
|
Keywords | 消化器癌 / 転移 / MMP / collagenase / 間葉系細胞 / 細胞外マトリックス / collagen / in situ hybridization |
Research Abstract |
癌が浸潤転移する際に、主病巣周囲の間質結合組織や脈管周囲の基底膜の破壊が重要なステップのひとつであり、間質結合組織の主な構成成分はI型collagenであることが知られている。I型collagenを分解することができるinterstitial collagenaseはマトリックス分解酵素のひとつでありmatric metalloproteinase-1(MMP-1)とも呼ばれ、その活性が、非癌部に比べ癌部において有意に高値であることをわれわれはすでに報告した(Keio J.Med.39:159-167,1990)。今回、MMP-1 cDNA probeをもちいたin situ hybridization法により消化器癌組織中のMMP-1産生細胞の同定を試みた。 手術材料から得た胃癌および大腸癌組織におけるMMP-1産生細胞の検討では,MMP-1 mRNAの発現は癌細胞そのものには認められず癌巣周囲の間葉系細胞にみられた。このことから,癌の浸潤における間質結合組織の分解は宿主側の間葉系細胞から産生されるMMPsにより行われている可能性が示唆された。 この研究成果は論文(J.Gastroenterology 29:391-397,1994)として発表した。 今後さらにMMPsの特異的インヒビターのひとつであるtissue inhibitor of metalloproteinaes(TIMP)の発現や、MMPsの遺伝子発現に重要な影響を与えるTGF-βやIL-1の産生動態の解析を進めていく予定である。
|
-
[Publications] Y.Otani,et,al: "Gene expression of interstitial collagenase (matrix metalloproteinase 1) in gastro intestinal tract cancers" Journal of Gastroeuterology. 29. 391-394 (1994)
-
[Publications] 大谷 吉秀,他: "癌組織マトリックスと接着分子" G.I.Reseacch. 2. 195-205 (1994)