1994 Fiscal Year Annual Research Report
急性腸間膜血管閉塞症におけるフリーラジカルの影響、及び腸管生存性判定法の検討
Project/Area Number |
06671252
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Research Category |
Grant-in-Aid for General Scientific Research (C)
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Research Institution | Tokyo Medical and Dental University |
Principal Investigator |
伊藤 雅史 東京医科歯科大学, 医学部, 助手 (30223184)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
北郷 邦昭 東京医科歯科大学, 医学部, 助手 (00161472)
仁瓶 善郎 東京医科歯科大学, 医学部, 講師 (00189341)
三島 好雄 東京医科歯科大学, 医学部, 教授 (00010158)
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Keywords | 腸管虚血 / 腸間膜血管閉塞症 / 再灌流障害 / 腸管生存性 / レーザードプラ法 |
Research Abstract |
本年度は家兎を用いた動物実験モデルより、動脈閉塞・静脈閉塞による病態生理の相違点について検討した。腸間膜の主幹血管である前腸間膜動脈および静脈本幹を1ないし2時間の遮断し、その後1時間再灌流させる一過性虚血モデルを作成し、1)Laser Doppler法による小腸漿膜面における局所血流量,2)酸素飽和度,3)全身血圧を経時的に測定、4)虚血腸管を採取し病理組織学的に検討した。1)2)については動脈群・静脈群ともに遮断直後より有意に低下を示したが、動脈群と静脈群で差は認められなかった。遮断解除後、両群とも1)2)は改善したが遮断前値より有意に低下しており、両群間の比較では静脈群が動脈群に比し有意に低値を示した。3)については動脈群は遮断及び遮断解除時に一過性の変動が認められたのみであったのに対し、静脈群は遮断直後より著明に低下し、遮断解除御徐々に回復する傾向であった。病理組織学的には動脈群は虚血性変化は比較的粘膜内、一部粘膜下層に限局する傾向であったが、静脈群では粘膜下層から筋層まで高度の障害が早期より出現していた。なお、腸管循環動態の評価では2)について測定法の改善を種々試みたが、誤差が大きく再現性が不良であったため、現在ではLaser Doppler法を中心に行っている。以上の結果を要約すると、急性腸間膜血管閉塞症では局所腸管循環状態・全身的循環状態、及び組織学的所見において静脈閉塞が高度の障害を示すことが明かとなり、病態生理の一端が解明された。また、組織学的障害の判定では、従来動脈閉塞による知見が主に検討されてきたが、動静脈別に判定基準が作成し、今後の腸管生存判定などに応用できるものと思われる。
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