1994 Fiscal Year Annual Research Report
癒着性イレウスの腹腔鏡下治療に関する臨床的ならびに実験的研究
Project/Area Number |
06671256
|
Research Institution | 福井医科大学 |
Principal Investigator |
中川 隆雄 福井医科大学, 医学部, 助教授 (40075578)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
平泉 泰自 福井医科大学, 医学部, 助手 (10173212)
|
Keywords | 癒着性イレウス / 腹腔鏡下治療 / 腹腔鏡下癒着剥離 / 改良型腸管把持鉗子 / 針状腹腔鏡 / 標準型腹腔鏡 / 急性腹症 / 小開腹 |
Research Abstract |
これまでに腹腔鏡下癒着剥離術を試みた癒着性イレウス症例は15例である。このうち癒着剥離に成功した症例が12例、術中に腸管を損傷した小開腹に移行した症例が3例である。腸管損傷をおこした理由は、不適当な腸管把持鉗子による腸管把持操作によると考えられた。術後経過は15例全例とも順調で、特に腹腔鏡下癒着剥離に成功した12例はすべて術後24時間以内に排ガスがみられ、創痛もなし、創感染や呼吸循環系の合併症もなかった。更に、術後1ケ月めに腹腔鏡で腹腔内を観察した2例は再癒着を全く認めなかった。 以上の臨床経験から、従来の腸管把持鉗子に改良を加え、把持力を調整する手元のハンドル圧を一定圧以上に上がらないよう工夫した改良型把持鉗子を考案し使用しているが、腸管壁の圧挫や過牽引を防ぐのに役立っている。 癒着性イレウスに対する腹腔鏡下癒着剥離術は、極めて合理的な治療手技であるが、腹壁への広汎な癒着がある場合など極力細径の腹腔鏡でのアプローチが有利であり、我々は主にオリンパス社製針状腹腔鏡を用いてきた。最近、急性腹症を簡便に診断・治療することを目的に新たに3mmの針状腹腔鏡が開発されたことから、本機種を使用しているが、極めて効果的である。現時点で、新針状腹腔鏡と改良型腸管把持鉗子を用いた腹腔鏡下癒着剥離術は、標準型腹腔鏡を用いた場合より手技が極めて容易で低侵襲であり、安全性の向上に有効と考えられた。
|
Research Products
(3 results)
-
[Publications] 中川 隆雄: "癒着性イレウスの腹腔鏡による診断と治療" 臨床外科. 49. 813-818 (1994)
-
[Publications] 関 弘明: "イレウス症例に対する腹腔鏡下手術" 手術. 48. 1209-1212 (1994)
-
[Publications] 中川原 儀三: "腹腔鏡下イレウス解除術" 手術. 48. 850-854 (1994)