1995 Fiscal Year Annual Research Report
温熱化学療法における温熱増感剤の効果に対する実験的研究
Project/Area Number |
06671257
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Research Institution | FUKUI MEDICAL SCHOOL |
Principal Investigator |
片山 寛次 福井医科大学, 医学部・附属病院, 講師 (30204431)
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Keywords | 温熱療法 / 温熱増感 / メルファラン / HMA / FSA-II / 細胞内pH |
Research Abstract |
[目的]細胞内pHが腫瘍の温熱化学療法に対する感受性に大きく関与することを確認するために以下の研究を行った。 [方法](1)C3Hマウス由来のFSA-II腫瘍をC3Hマウス大腿皮下に接種し、腫瘍体積が200mm^3に達した時点でメルファラン(MEL)2.5mg/kgを腹腔内投与し、腫瘍を42.5℃の恒温槽に60分間浸漬(HT)して腫瘍の体積変化を継時的に測定した。(2)MELの投与量を2.5,5.0,7.5,10.0,12.5,15.0mg/kgと変化させて同様の実験を行った。(3)in-vitro,in-vivo excicionassayを用いて、細胞レベルでのMELの温熱感受性を検討した。(4)アミロライドのアナログであるHMAを培養FSA-II細胞に作用させ、細胞内pHの変動をBCECF蛍光測定法で確認する。(5)HMA10μmolをMEL投与直前に尾静脈から投与し(1)同様に腫瘍の体積変化を測定した。 [結果]実験(1):無治療群の腫瘍は6日で4倍に増大した。HT単独群、MEL5mg/kg投与群では、4倍までの増加期間が2日遷延した。HT+MEL5mg/kg群では12日もの延長を得た。(2):MEL10mg/kg投与単独では増加期間が4日延長したが、これ以上のMEL投与では毒性による死亡が出現した。MEL2.5mg/kg+HTでは6日の増大延長が認められた。(3):MELの優れた温熱増感作用が細胞レベルでも明らかとなった。(4):HMA10μmol存在下では細胞内pHが7.0⇒6.3まで低下した。(5):HMA+MEL2.5mg/kg+HTでは15日の増大延長が認められ、30%のマウスで腫瘍の消失治癒が観察された。 [結語]メルファランの抗腫瘍効果は温熱により増強された。42.5℃という比較的低温の加温によるメルファランの抗腫瘍効果増強は、細胞内pH低下作用を示すHMAの投与で著しく増加した。
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Research Products
(2 results)