癌の腹膜転移に対する腹腔内浸透圧化学療法に関する基礎的・臨床的研究

1994 Fiscal Year Annual Research Report

• Project/Area Number: 06671275
• Research Category: Grant-in-Aid for General Scientific Research (C)
• Research Institution: Tottori University
• Principal Investigator: 貝原 信明 鳥取大学, 医学部, 教授 (70037406)
• Co-Investigator(Kenkyū-buntansha): 辻谷 俊一 鳥取大学, 医学部・付属病院, 助手 (30188544) ; 前田 廸郎 鳥取大学, 医学部, 助教授 (70032208)
• Keywords: 浸透圧化学療法 / 腹膜転移 / シスプラチン

Research Abstract

1.シスプラチンの癌細胞内到達性に及ぼす制癌剤溶液の浸透圧の影響(in vitro):癌細胞内へのシスプラチン到達量は溶液の浸透圧が低いほど増加する。更に、同様のin vitro処理された癌細胞の殺細胞効果は低浸透の程度に応じて増強する。
2.腹腔内担癌マウスに対するシスプラチン腹腔内投与による薬物動態(in vivo):シスプラチン溶液の浸透圧低下に伴って、腹腔内癌細胞へのシスプラチン濃度は増加する。しかし、この浸透圧低下に応じて、シスプラチンの血中への移行も増大し、シスプラチンのLD_<50>は減少して毒性も増強される。
3.腹腔内担癌マウスに対する腹腔内浸透圧化学療法の治療効果(in vivo):LD_<50>の1/2量のシスプラチン投与では、マウス生存期間は浸透圧の低下に伴って延長し、腹腔内低浸透圧化学療法の有用性が確認された。
4.今後の課題:
1)至適浸透圧の検討;低浸透圧である程、癌細胞へのシスプラチン到達性は向上し、抗腫瘍性は増強するが、反面、薬剤の血中移行増量により毒性も増加する。双方を並立させる至適浸透圧と至適薬剤投与量を確立したい。
2)腹膜転移巣への薬剤移行;現在までの検討は浮遊癌細胞における薬剤濃度であった。臨床に対応させるため、腹膜転移固型腫瘍に対する薬剤到達性の検討が重要である。