1994 Fiscal Year Annual Research Report
アポトーシス,細胞核DNA分析を指標とした大腸癌化学療法効果判定に関する研究
Project/Area Number |
06671276
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Research Institution | Tottori University |
Principal Investigator |
牧野 正人 鳥取大学, 医学部, 助手 (90229344)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
木村 修 鳥取大学, 医学部・附属病院, 講師 (20169923)
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Keywords | アポトーシス / 大腸癌化学療法 / 細胞核DNA |
Research Abstract |
apoptosisはprogrammed cell deathとよばれ生体のhomeostasisの維持,分化に関与するのみならず,癌細胞においてもapoptosisが発生することが報告されている.今回,術前5FU投与がなされた大腸癌症例において,癌細胞apoptosis発生の増強の有無を検討した. (対象)1988年に当科で連続して経験した大腸癌切除症例20例を無作為に2群にわけ、術前5FU持続投与群(n=10)と,投与を行わなかった対照群(n=10)とした. (方法)5FU群は平均年齢64才(男女比=8:2)で対照群では平均年齢65才(男女比=8:2)大腸癌の占居部位,壁深達度組織型など背景因子には差は認められなかった.5FUは500mg/body/dayを中心静派より7日間持続投与した.apoptosisの発現はterminal deoxynucleotidyl trans ferase-mediated dUTP-biotin nick end labeling(TUNEL)法を用いパラフィン切片を染色し,癌細胞1000個を数え,核が染色された癌細胞をapoptosis細胞として数えた.またMIB-1,p53,c-mycを染色しapoptosisとの関連を検討した. (結果)apoptosis癌細胞は対照群の3±1%に対して5FU投与群では平均18±6%と有意にapoptosisの発現の増加が認められた(p<0.001).癌細胞の増殖能をあらわすMIB-1陽性細胞は全症例で確認されたがapoptosis発生部位での染色陽性細胞は少なかった.p53の発現は対照群で60%,5FU投与群で50%と差を認めなかった.また,c-mycの発現も対照群,5FU投与群ともに80%であり差を認めなかった. (まとめ)5FU投与により大腸癌細胞のapoptosisの発現が有意に増強された.同部ではMIB-1に不染色で増殖能の低下がうかがわれた.apoptosisの発現とp53,c-mycとの関連は明らかではなかった.
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