1994 Fiscal Year Annual Research Report
胃癌の進展・転移に関与する癌関連遺伝子異常の解明と治療への応用
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06671286
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Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
前原 喜彦 九州大学, 医学部, 講師 (80165662)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
大野 真司 九州大学, 医学部, 助手 (50203881)
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Keywords | 胃癌 / p53 / 制癌剤感受性 |
Research Abstract |
近年、分子生物学の進歩により、癌の発生・浸潤・転移・薬剤耐性のメカニズムが遺伝子の異常として捉えるようになったが、現実の診断や治療との隔たりは大きい。その臨床的意義を明らかにするためには、臨床データを詳細に解析する必要がある。これまで、胃癌の転移・浸潤に関与する生物学的特性を多変量解析で解析したところ、胃癌の転移と密接な関係を持つrisk factorが明らかになり、転移の予知が可能となった。転移の高危険群に対して胃癌治療のstrategyを立てるために、制癌剤感受性試験を行ない各特性に基づいた治療法の確立の必要性を提唱してきた。今回、以下の点に注目を明らかにした。(1)DNAの修復には、障害に反応して細胞周期を遅らせ修復するチェックポイントとp53の癌抑制遺伝子産物との密接な関係が報告されている。ヒト胃癌においてもp53異常とDNAaneuploidと密接な関係があることを明らかにし、p53はGl-S移行のチェックポイント機構に関与する因子であることを示した。(2)制癌剤感受性との関連で、MPR遺伝子の発現をRT-PCR法で調べたところ、胃癌組織の63%で発現が認められ、ADM、VP-16の低感受性と関係あることが認められた。以上よりp53とgenetic instabilityのin vitroでの知見を、臨床検査で実証することができ、癌の発生・進展のメカニズムに新しい展開を与える結果が得られると考えられる。また、化学療法における耐性の分子機構が明らかとなり、我々が提唱しているtype-oriented chemotherapyを発展し、臨床に応用できる点で意義深い研究であると考えられる。
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