1994 Fiscal Year Annual Research Report
小腸移植における薬剤誘導性のキメラ型免疫寛容性確立に関する研究
Project/Area Number |
06671287
|
Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
田口 智章 九州大学, 医学部, 助手 (20197247)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
水田 祥代 九州大学, 医学部, 教授 (30038856)
|
Keywords | 小腸移植 / 免疫寛容 / キメラ / cyclophosphamide / 同種移植 / ラット / PCR / Y染色体 |
Research Abstract |
小腸は含有するリンパ球の量が多いため免疫原性が強く、拒絶(HVG)やGVHDが起こりやすく強力な免疫抑制が必要であるが、感染症や腎障害等の副作用の問題もあり、他の臓器に比してTherapeutic windowk狭さが問題となっている。臨床例では近年免疫抑制剤FK506とステロイドの併用や肝小腸同時移植により1年以上の生存例が報告されるようになったが、まだ長期生存例はなく、また長期生存したとしても免疫抑制剤を継続投与する必要性があり、副作用として感染症や悪性腫瘍を併発する危険性がある。したがって免疫抑制剤なしで生着した状態すなわち免疫寛容性を獲得する方法の開発が切望されている。この研究ではラットの小腸移植モデルを用いて、ドナー脾細胞および骨髄細胞移入および薬剤(cyclophosphamide)投与により免疫寛容性を誘導する方法を検討し、臨床応用の手がかりとする目的で研究を開始した。 今年度は生体小腸移植モデルについてLow Responder(F344→Lewis)の組合せで、まずF344の骨髄細胞を長管骨をフラッシュすることにより採取、さらに脾細胞をミンシングにより採取し、両者を混合しトリパンブルーにてカウントし1×10^8個をLewisに静注し、翌日よりcyclophosphamideを投与した。 50mg/kg/day×3日:n=3:全例3週間生存し、投与前の体重に戻ったが、小腸移植手術の麻酔にて全例死亡 40mg/kg/day×3日:n=3:全例cyclophosphamide投与後5日以内に死亡。 30mg/kg/day×3日:n=3:全例3週間以上生存し、体重も投与前の体重より増加しており現在移植手術を開始したところである。 この実験系にてcyclophosphamide大量投与にラットでもある程度耐えられことが判明したが、ラットの性染色体のプローベのsequenceが判明したので現在プローベを作成中であり、キメラ状態のチェックが次年度は可能になると考えられる。また小腸移植そのものが侵襲がかなりあるため、まず免疫寛容状態のチェックには侵襲の少ない皮膚移植で確認した後に小腸移植を行うように変更する予定である。
|
-
[Publications] Taguchi T,Yamada T,Toyohara T,Suita S,Ohta M: "Cytological examination of exudate on reperfusion as a parameter to evaluate graftviability in small bowel transplantation" Transplant Proc. 26. 1481- (1994)
-
[Publications] Taguchi T,Yamada T,Toyohara T,Suita S: "Parametersof graftviability before transplantation of the rat small bowel-Aphysiological evaluation of a preserved graft" Transplant Proc. 26. 1497- (1994)
-
[Publications] Yamada T,Taguchi T,Hirata Y,Toyohara T,Hirose R,Suita S: "Assessment of small bowel graft viability bosed on energy metabolism and tissue blood flow" Transplant Proc. 26. 1473-4 (1994)
-
[Publications] Yamada T,Taguchi T,Hirata Y,Toyohara T,Hirose S,Suita S,Yagi H: "The effect of hyperbaric oxygenation on ischemia-reperfusion injury of the small intestine" Transplant Proc. 26. 1506-7 (1994)
-
[Publications] Hirata Y,Taguchi T,Suita S,Takeshige K: "Adenine nucleotide metabolism in relation graft viability rat small-bowel transplantation" Eur Surg Res. 26. 309-17 (1994)
-
[Publications] Hirose R,Taguchi T,Hirata Y,Yamada T,Nada O,Suita S: "Immunohistochemical demonstration of enteric nervous distribution after syngeneic small bowel transplantation in rats" Surgery,accepted for publication.