1996 Fiscal Year Annual Research Report
ポジトロンCTによる生理学的な分肝機能検査法の開発に関する研究
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06671297
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Research Institution | Kyoto Prefectural University of Medicine |
Principal Investigator |
谷口 弘毅 京都府立医科大学, 医学部, 講師 (20217136)
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Keywords | 局所肝血流量 / 肝動脈血流量 / 肝門脈血流量 / ポジトロンCT |
Research Abstract |
これまで肝の局所血流量を非侵襲的に動脈・門脈別にかつ同時に測定する方法はなかった。しかし、われわれはポジトロンCTの特性を活かした局所肝血流量測定法を開発した。その結果、局所総肝血流量は肝の慢性障害とともに減少し、かつそれは門脈血流量の減少に負うところが大きいものと考えられた。そして、動脈血流量は門脈血流量の減少を補っているものと考えられた。門脈循環時間・シャント率は門脈血流量の減少に伴って増加しており、ポジトロンCTで慢性肝疾患の病態生理をよく捉えていると考えられた。肝・門脈臓器に関する係数の意義については今後の検討課題であるが、特に、肝に関する係数については局所門脈血流量・シャント係数と鏡面的な傾向を示しており、慢性肝障害の病態生理を表す新しいパラメーターとして注目される。ポジトロンCTによる結果と従来の血液生化学的検査結果との間には有意の相関が認められたものの、相関係数が低値を示すに留まった。総肝値流量・動脈値流量では各肝区域間には有意差は認められなかった。しかし、門脈血流量では各肝区域間に有意差が認められ、各肝区域の門脈血流量は一定ではないことが判明した。各疾患毎に局所肝血流量をみてみると、肝硬変では非障害肝に比べて局所肝血流量は低下していた。局所総肝血流量は、肝硬変・慢性肝炎・非障害肝とも各肝区域間に有意差は認められなかった。局所門脈血流量は肝硬変・慢性肝炎では各肝区域間に有意差は認められなかったが,非障害肝ではで有意差があり、前区域の局所門脈血流量が最も高かった。局所動脈血流量は肝硬変・慢性肝炎・非障害肝のいずれもで各肝区域間に有意差は認められなかった。さらに、それぞれの肝区域毎にみてみると有意差のある区域が多数存在し、局所肝血流量は肝区域によって異なり、肝全体として一定ではないと考えられた。
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Research Products
(11 results)
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[Publications] 谷口弘毅他: "ポジトロンCTを用いたH_2^<15>O静注法による肝動脈・門脈血流量同時測定法(肝区域毎の局所肝血流量格差について)." 映像情報. 26・8. 449-453 (1994)
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[Publications] 谷口弘毅他: "肝臓の機能診断-ポジトロンCT" 肝胆膵. 29・4. 683-688 (1994)
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[Publications] 谷口弘毅他: "ポジトロンCTによる肝の局所血流量測定" 薬理と治療. 23・S. 215-222 (1995)
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[Publications] 谷口弘毅他: "Determination of the spleen-blood partition coefficient for water with oxygen-15-water and oxygen-15-carbon dioxide dynamic PET steady-state methods." Journal of Nuclear Medicine. 36・4. 599-602 (1995)
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[Publications] 谷口弘毅他: "ポジトロンCTを用いたC_<15>O_2吸入定常法による肝局所血流量測定の意義" 薬理と治療. 24・1. 53-57 (1996)
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[Publications] 増山守、谷口弘毅他: "肝硬変は非侵襲的に診断可能か?-ポジトロンCTを用いた肝の局所血液量測定-" 薬理と治療. 24・1. 59-62 (1996)
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[Publications] 谷口弘毅他: "Analysis of models for quantification arterial and portal blood folw in the human liver using PET" Journal of Computer Assisted Tomography. 20・1. 135-144 (1996)
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[Publications] 谷口弘毅他: "Quanititative measurement of human tissue hepatic blood volume by C^<15>O inhalation with positron-emission tomography" Liver. 16. 258-262 (1996)
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[Publications] 谷口弘毅他: "Angiotensin-II-induced hypertention chemotherapy : Evaluation of hepatic blood flow with oxygen-15 PET" Journal of Nuclear Medicine. 37・9. 1522-1523 (1996)
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[Publications] 増山守、谷口弘毅他: "PETによる肝血液量測定と肝機能" PET通信. 17. 8-10 (1996)
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[Publications] 谷口弘毅: "消化器診療プラクティス13肝・胆・膵の画像診断" 文光堂, 213 (1996)