1995 Fiscal Year Annual Research Report
胸部食道癌術後の上部食堂昇圧帯機能と反回神経の関連に関する実験的研究
Project/Area Number |
06671300
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Research Institution | OSAKA CITY UNIVERSITY |
Principal Investigator |
東野 正幸 大阪市立大学, 医学部, 助教授 (50137220)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
大杉 治司 大阪市立大学, 医学部, 講師 (30168926)
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Keywords | 上部食道昇圧帯 / 食道内圧測定 / 反回神経麻痺 / 胸部食道癌 |
Research Abstract |
上縦隔リンパ節郭清を伴う胸部食道癌術後の上部食道活約筋(UES)機能の低下と反回神経との関連を実験的に検討した。雑種成犬10頭をそれぞれ無処置群(C群)、左反回神経切断後(L群)、両側反回神経切断後(B群)、さらにUESより肛門側7cmの食道で離断吻合後(T群)の4群に分け、これら各群(延べ40頭)を対象とし、以下の条件下に食道内圧測定を行った。すなわち、1)UESの肛門側5cm、10cmの頸部食道でバルーン拡張刺激を加えたとき、2)UESの肛門側10cm頸部食道に0.1N HC1あるいは0.1N NaOHを滴下した時のUES圧(UESP)について検討した。なお、食道内圧測定には、全周性に圧を感受するMicrotip型tranducer(CCTセンサー、Galtec社製)を使用した。非刺激時UESP(C群32.9 L群30.0 B群30.2 T群29.3mmHg)は4群間に有意差はなかった。バルーン拡張刺激時には、すべての群でUESPは非刺激時時に較べ有意に上昇した。各群間で比較するとL群、B群、T群のUESPは各バルーン径、各バルーン拡張位置のいずれにおいてもC群に較べて有意に低かった。酸刺激では、C群のUESPは経時的に有意に上昇したが、L群、B群、T群ではUESPの経時的な上昇はみられなかった。アルカリ刺激では、C群、L群のUESPは経時的に有意に上昇たが、B群、T群ではUESPの経時的な上昇はみられなかった。以上より、非刺激時UES機能には反回神経は関与しなかったが、反回神経はバルーン拡張刺激に対するUES収縮反応の求心反射経路であり、これには食道壁内経路も関与していた。また、反回神経は酸あるいはアルカリ刺激に対するUES収縮反応の求心反射経路でもあることが示唆された。
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[Publications] 東野正幸: "Results of surgical treatment for esophageal cacer:extended lymphadenectomy" COLLEGIUM INTERNATIONALE CHIRURGIAE DIGESTIVAE. 49-53 (1994)
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[Publications] 大杉治司: "嚥下機能からみた食道癌の治療" 外科. 56. 378-380 (1994)
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[Publications] 福長洋介: "上部食道昇圧帯機能における反回神経および食道神経叢の関与に関する実験的研究" 日本外科学会雑誌. 95. 643-654 (1994)