1995 Fiscal Year Annual Research Report
急性膵炎モデルにおける重症化機序の解明および新しい治療法の開発
Project/Area Number |
06671316
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Research Institution | St.Marianna University, School of Medicine |
Principal Investigator |
小森山 広幸 聖マリアンナ医科大学, 医学部, 講師 (70178383)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
窪田 倭 聖マリアンナ医科大学, 医学部, 助教授 (20075500)
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Keywords | 重症急性膵炎 / 活性酸素 / 動脈内投与法 |
Research Abstract |
急性膵炎における重症化因子の一つとして活性酸素が関与することが報告されている。すなわち、膵腺房細胞の破壊からのxanthin dehydrogenaseからxanthin oxidase(XOD)系への変換、また膜傷害による過酸化脂質系が活性酸素生成機序とされている。我々はsuperoxide dismutaseの投与にもかかわらずphospholipaseの増加がみられたことよりXOD系からのO_2^-発生以外の活性酸素発生系、すなわちアラキドン酸カスケードからの発生を示唆する知見を得た。そこで急性膵炎においてアラキドン酸スケードからも活性酸素が発生し、かつ種々の代謝産物と相まって急性膵炎が進展・増悪するのではないか推測し、強力なthronboxane A2合成阻害剤(CV-4151)を投与しその効果を検討した。その結果、膵組織中のmalondialdehyde、phospholipase A2はコントロール群に比較し、有意に抑制された。活性酸素や6-keto-PG F1αは投与の有無にかかわらず有意な増減は示さなかった。血清アミラーゼ値は本剤投与群は経日的に減少し、本剤の急性膵炎に対する効果がみられた。しかし、CV-4151非投与群の死亡率54%、投与群43%で統計的に有意差は認められなかった。また、superoxide dismutaseを直接投与しその効果を検討した。剖検所見では、膵全体の壊死と腹水の貯留が全例にみられ、非投与群では腸管壊死例もあった。また、急性膵炎時の膵支配動脈を観察すると、壊死と考えられる部分にも動脈は明らかに存在し、薬剤の動脈内投与が末梢からの投与よりも膵組織に高い濃度で到達し、その薬効を発揮できるものと推測された。すなわち、微小循環障害が認められるが、血行は保たれ動脈内投与の有用性が示唆された。
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