1995 Fiscal Year Annual Research Report
腹直筋を用いた生物学的ポンプによる心補助効果とその臨床応用に関する研究
Project/Area Number |
06671338
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Research Institution | KYOTO UNIVERSITY |
Principal Investigator |
西村 和修 京都大学, 医学研究科, 講師 (70252450)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
伴 敏彦 京都大学, 医学研究科, 教授 (00173120)
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Keywords | 骨格筋ポンプ / 腹直筋 / 心外膜形成術 / コンディショニング / 心補助 |
Research Abstract |
自己骨格筋を心補助として使用する生物学的ポンプ(骨格筋ポンプ)は感染や免疫抑制等の問題のない優れた補助循環方法である.本研究の目的は,腹直筋を用いた生物学的ポンプを作成し,その心補助効果を実験的に確認し臨床応用を計ることにある. 1.腹直筋のコンディショニング 腹直筋の疲労抵抗性を獲得するために慢性電気刺激にて8週間のconditioningを行った.雑種成犬に2本の電極を直接筋肉に縫着し,刺激条件は単発刺激,2Hz,7.5Vとした.腹直筋のMyosin ATPase染色ではconditioning後にtype II線維からtype I線維(疲労抵抗性)への変換が認められた.この腹直筋の圧発生能はconditioning前と比べると約70%に減少していた. 2.心外膜形成術(Pericardiomyoplasty)による急性期心補助効果 雑種成犬8頭を用いてconditioningを行っていない左側腹直筋を剥離し,これに流入する内胸動脈を剥離して有茎グラフトを作成し,これを心外膜前面を窓状に切除した後に置換した.支配神経である3本の肋間神経をバースト刺激することにより,大動脈収縮期圧,右室収縮期圧,大動脈血流はそれぞれ8.6%,53.6%,18.1%増加した.心不全を作成するとこの増加はより著明となった. 以上の結果より,腹直筋を用いた心外膜形成術は心補助として利用できることが示唆された.筋肉のconditioningにより圧発生能の低下が避けられないこと,神経温存の方法が困難なことなどの克服が今後の課題である.
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Research Products
(2 results)