1994 Fiscal Year Annual Research Report
神経伝達遮断物質注入法による大動脈遮断時の脊髄虚血術中早期診断法の開発
Project/Area Number |
06671347
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Research Institution | Kobe University |
Principal Investigator |
安宅 啓二 神戸大学, 医学部, 助手 (20252760)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
野原 秀晃 神戸大学, 医学部・附属病院, 医員
莇 隆 神戸大学, 医学部・附属病院, 医員
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Keywords | 大動脈手術 / 大動脈遮断 / 脊髄虚血 / リドカイン / 運動誘発電位 |
Research Abstract |
大動脈遮断により発生する、脊髄虚血時は重篤な合併症へつながる。これを未然に防止するため、脊髄灌流状態の異なる条件下において、大動脈遮断間に直接注入した局所麻酔薬(Lidocaine)が運動誘発電位(MEP)に及ぼす影響について検討した。体重10Kgの成犬を用い、脊髄虚血モデルを作製した。MEPはpulse幅0.5msec強度30mAの矩形波を用い頻度10Hzにて硬膜外より大脳皮質運動野を刺激し、第3〜4腰椎の硬膜外腔に留置したカテーテル電極より導出した。腹部大動脈を腎動脈上及び両側腸骨動脈分岐上にて遮断し、左房脱血-大腿動脈送血、左腎動脈送血の左心バイパス下に胸部下行大動脈を更に遮断し、バイパス流量を変化させて、遮断大動脈内の血圧により脊髄灌流状態を60±15mmHg、30±5mmHg、10±5mmHgの3条件に分けた。これらの条件下において大動脈遮断間にLidocaine(5mg/Kg)を注入し、MEPの変化を観察した。MEP波形のうち、N2成分の振幅変化はLidocaine注入1分後より変化がみられ、脊髄灌流圧の少ない条件ほどN2成分の抑制が増強された。脊髄灌流動脈が大動脈遮断の間にあれば、MEPは、遮断間へのLidocaine注入直後より、N2成分の抑制が認められた。脊髄の灌流状態がよい状態では注入されたLidocainはすばやく全身に拡散するためその抑制作用は軽度で、脊髄への灌流状態が悪いケースほど、脊髄誘発電位の変化を早期に増強させうると考えられ、脊髄虚血障害の早期診断に大いに役立つものと考えられた。 以上の研究成果を平成6年度日本外科学会総会、American College of Angiology、平成7年日本心臓血管外科学会にて発表した。
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Research Products
(2 results)