1994 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
06671356
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Research Institution | Nara Medical University |
Principal Investigator |
河内 寛治 奈良県立医科大学, 医学部, 助教授 (90116020)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
小林 修一 奈良県立医科大学, 医学部, 助手 (50201489)
福富 正明 奈良県立医科大学, 医学部, 助手 (40221535)
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Keywords | 心保存 / 氷温 / 心機能 / 心筋代謝 |
Research Abstract |
我々は0℃以下の心筋未凍結温度領域である水温(-1℃)における長時間心保存効果を実験的に検討した.1.氷温保存における心機能の評価;A群=4℃保存群,B群=氷温保存群(各群n=6)の2群間で6時間保存後の心機能の回復律をラット摘出灌流心を用いて比較した.大動脈流量回復率(A群53.1±16.6%,B群78.8±13.5%),心拍出量回復率(A群60.9±13.1%,B群77.1±11.4%),大動脈収縮期圧回復率(A群79.4±10.9%,B群100.9±8.1%)においてB群はA群より有意(p<0.05)に高値を示した.冠灌流量回復率(A群80.0±21.9%,B群73.8±9.7%),心拍数回復率(A群98.7±17.1%,B群101.7±8.2%)には有意差を認めなかった.2.氷温保存における心筋代謝の評価;心筋内高エネルギーリン酸化合物を6時間保存後と再灌流70分後に,Luciferin-Luciferase法を用いて測定した.6時間保存後におけるATP(A群5.6±1.9μg/mg protein,B群13.0±2.0)Total adeninenucleotides(A群13.2±4.4μg/mg protein,B群23.1±1.7)においてB群はA群よりも有意(p<0.01)に高値を示した.しかし,ADP,AMP,creatinephosphateでは有意差がみられなかった.また再灌流70分後の心筋内高エネルギーリン酸化合物において両群間に差は認められなかった.再灌流70分後の心筋水分含有率はB群(82.0±0.9%)がA群(84.3±1.8%)よりも有意(p<0.05)に低値を示した.これらの結果から本実験において,氷温(-1℃)保存は4℃保存よりも良好な心保存効果のあることが示唆された.さらにマウス培養心筋細胞を用いた実験を現在進めており,倒立型システム顕微鏡で形態観察や収縮機能の測定を行っているところである.
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