1995 Fiscal Year Annual Research Report
実験的脊髄内移植モデルにおける髄節性脊髄反射弓の再構築に関する研究
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06671371
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Research Institution | AKITA UNIVERSITY |
Principal Investigator |
伊藤 康信 秋田大学, 医学部, 講師 (00184698)
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Keywords | 神経移植 / 脊髄移植 / 後根神経 / 胎仔組織 / 反射弓 / CGRP / 神経成長栄養因子 / Neurotrophin 3 |
Research Abstract |
1.宿主脊髄の前角motoneuron群に再生伸展した宿主後根神経軸索のシナプス機構の電子顕微鏡的検討 胎仔脊髄組織の成熟ラット脊髄内移植モデルにおいて,calcitonin gene‐related peptide(CGRP)で標識された再生後根神経の軸索終末が宿主脊髄内に同定され,一部の終末は宿主脊髄内神経細胞とシナプスを形成することが証明された.しかし,電顕レベルにおける低いCGRP免疫染色性のために宿主脊髄前角のmotoneuron群にシナプスを形成する再生軸索終末の同定は現在できていない.再生後根神経軸索による大部分のシナプスは正常形態を示すaxo‐dendriticシナプスであった.形態計測から再生シナプス終末の分布頻度は正常後角内のCGRP標識シナプス終末よりも有意に低かったが,再生シナプス終末は有意に大型で,再生後根神経による乏しい神経支配の代償機構と考えられる.今回の研究から,胎仔脊髄組織は後根神経の再生のみならず,シナプス形成も支持・促進することが証明された. 2.各種神経成長栄養因子を含むコラーゲンゲルの脊髄内移植 各種神経成長栄養因子の中で,これまでneurotrophin‐3(NT‐3)に関する研究計画が終了している.上記1.の実験モデルを応用し,胎仔脊髄組織の代わりにNT‐3含有のフィブリン糊球を病巣腔に移植した.移植後1ヶ月で,CGRP標識の再生後根神経は宿主脊髄に再生・伸展し,一部の線維は宿主脊髄前角のmotoneuron群に達した.したがって,NT‐3はCGRPで標識された後根神経のsubpopulationの宿主脊髄への再生を促進することが証明された.しかし,再生の程度は胎仔脊髄組織の脊髄内移植モデルよりも劣っており,後根神経の再生には他の神経成長栄養因子も関与していることが推定される.計画した他の神経成長栄養因子に関しては現在研究進行中である.
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Research Products
(4 results)
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[Publications] Yasunobu Itoh: "Regenerated dorsal root fibers from functional synapses in embryonic spinal cord transplants." J.Neurophysiol.in press (1996)
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[Publications] Yasunobu Itoh: "Enhancement of functional recovery of hindlimb behaviors by embryonic spinal cord tissue transplanted into adult rats spinally transected." Restorative Neurology and Neuroscience. 9. 56-56 (1995)
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[Publications] 伊藤康信: "成熟ラット脊髄横断モデルにおける移植胎仔脊髄組織による後肢運動の機能的回復の促進" 神経組織の成長・再生・移植研究会 第10回学術集会論文集. 7. 67-68 (1995)
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[Publications] 伊藤康信: "神経の再生と機能再建‐基礎と臨床‐ 脊髄における胎仔中枢神経系組織の移植" 西村書店, 11 (1996)