1994 Fiscal Year Annual Research Report
虚血脳海馬における一酸化窒素発現の変化に関するタン白レベル及び遺伝子レベルの研究
Project/Area Number |
06671382
|
Research Institution | Hamamatsu University School of Medicine |
Principal Investigator |
遠藤 光俊 浜松医科大学, 医学部, 助手 (70213600)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
植村 研一 浜松医科大学, 医学部, 教授 (60009561)
|
Keywords | 一酸化窒素合成酵素 / 遺伝子発現 / 脳虚血 / NADPH diaphorase / 海馬 / 神経細胞死 |
Research Abstract |
NOの脳内における働きを解明することを最終目標として、虚血後の海馬におけるNOSの発現の変化を研究した.NOSの発現は,NOS activityを反映するNADPH diaphorase activityと、NOS mRNAの変化をとらえることによって調べた。ラット一過性前脳虚血後の海馬CA1 pyramidal cellにおいて,NADPH diaphorase activityは、虚血24時間後に増強した後、遅発性神経細胞死が起こり始める3日後には低下して、1週間後にはほぼ消失した。すでに論文に報告したように、アストロサイトによるNADPH diaphoraseの発現は虚血後3日までには明かになり、30日まで増強する。神経組織の修復に重要な役割を持つ反応性アストロサイトがNADPH diaphorase(NOS)を発現すること,CA1 pyramidal cellにおけるNADPH diaphorase activity (NOS actuivity)が神経細胞死が起こる前の虚血後24時間に増強することは,NOSは中枢神経において二つの相反する役割を持っていることを示唆する。すなわち、NOSは、神経修復に重要な役割をはたす一方で、神経細胞死にも関与している可能性がある。さらに、虚血後のNOSmRNAの発現の変化をin situ hybridizationで見ると、虚血後24時間には、脳全体で低下していた。この結果の意味するところは、虚血24時間後には、すでに存在しているNOS activityが過剰に増強して神経細胞に有害な作用を及ぼすために、NOSの転写がdown-regulationされ、NOS mRNAの発現量が低下すると考えられる。今後の方向は、これらの変化に影響を与える因子(NOS inhibitor gkutamate antagonist,protein kinase C inhibitor など)について研究していく予定である。
|