1994 Fiscal Year Annual Research Report
脳由来神経栄養因子(BDNF)産生細胞の移植による視神経再生
Project/Area Number |
06671386
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
永田 泉 京都大学, 医学部, 講師 (10198327)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
菊地 晴彦 京都大学, 医学部, 教授 (20072746)
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Keywords | BDNF / パッケージング細胞 / 遺伝子導入 / 眼球内移植 / ラット網膜 / trkB / LNGFR |
Research Abstract |
1.ベクター作成,遺伝子導入:BDNF cDNAをレトロウイルスベクター(DOl)のクローニングサイトに挿入,これを燐酸カルシウム沈殿法にて一度パッケージング細胞(Ψ2)にトランスフェクションした後,別のパッケージング細胞(PA317)に再感染させ,G418(培養液中に400mg/ml)にて耐性クローンを作成した。このクローニング細胞プロウイルス構造は,目的のcDNAのgenome内への導入が確認されたが,BDNF mRNA産生量と感染効率は十分ではなかったため,DOlベクターより高い感染効率が期待できるpLXSGベクターにBDNF cDNAを挿入しなおし,同様に組み替えウイルスのプロウイルス構造と産生量を現在検討中である。 2.細胞の眼球内移植:BDNF産生細胞の移植に先立ち,LAPSN導入rat1細胞(ラットの線維芽細胞のセルライン)をラットの硝子体内に移植し,生着するか検討した。LAPSN導入パッケージング細胞より,1.と同様の方法で感染させたrat1細胞を,4週令ラットの硝子体内に2x10^6/10μl注入,3,7,14日後に摘出した眼球の固定切片標上で細胞内アルカリフォスファターゼを発色させたところ,その生着が確認された。 3.発達過程におけるラット網膜のBDNF結合受容体の発現:胎生17日,生後0,7,14,28日令ラットの網膜矢状切片に対し,in situ hybridization法によって,BDNF結合受容体であるtrkB,LNGFR(low-affinity NGF receptor)の局在を検討した。胎生期の未分化な網膜ではtrkB mRNAは神経芽細胞層内側縁,LNGFR mRNAは神経芽細胞層のほぼ全層に,生後分化後の網膜ではtrkB mRNAは神経節細胞層と内顆粒層の内側縁,LNGFR mRNAは神経節細胞層と内顆粒層の中層に発現が認められた。このような局在の差異はこれらの受容体が別々の機能を持つとともに,網膜神経節細胞のシナプス形成や細胞死においてBDNF結合受容体が重要な役割を果たしている可能性が示唆された。
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