1995 Fiscal Year Annual Research Report
カイニン酸てんかんモデルにおける遺伝子発現と遺伝子治療の試み
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06671391
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Research Institution | Tottori Univ.School of Medicine, Dept.of Neurosurgery |
Principal Investigator |
近藤 慎二 鳥取大学, 医学部・附属病院, 助手 (60192069)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
紙谷 秀規 鳥取大学, 医学部・附属病院, 助手 (70194967)
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Keywords | カイニン酸 / アポトーシス / てんかん |
Research Abstract |
(方法)「1.カイニン酸(KA)てんかんモデル作製」 雄wistar系ラットを用い、定位的に左扁桃体内にの外筒を植え込み、術後8日目に、無麻酔・無拘束下に内筒よりKA(0.6μg/0.6μl)を5分間かけて注入した。KA注入後、経時的(6h,12h,24h,48h,72h,7d後)に脳を灌流固定しパラフィン切片を作製した。 「2.HE染色・KB染色」 1.で作製したパラフィン切片を光顕で観察した。 「3.in situ end labeling法」切片に蛋白分解酵素で軽く処理した後、terminal deoxynucleotidyl transferase (TdT)を核内DNAの3'OH末端にビオチン化したデオキシウリジンを結合させ、そのビオチンを免疫組織学的に検出するもので、ApopTag・Kit(ONCOR社)を使用した。(結果)「1.HE染色(KB染色)」 扁桃体にKAを注入後、6hの海馬では、既にCA1,3,4の錐体細胞の大きさが縮小し、周辺に隙間が生じ濃染像(pyknosis)を示した。12hでは、細胞脱落(loss of oell)が、明らかになった。CA2の錐体細胞は、48hになって、pyknosisloss of oellを起こすようになった。注入後7dになると、CA2も含めて本来の錐体細胞の形態を保持する細胞はほとんど無くなり、濃染した核と、著しく増加したグリア細胞の区別が困難となった。従って、海馬錐体細胞の層構造は失われ、gliosisを認めた。 「2.in situ end labeling法(ApopTag染色)」 ApopTag染色で最も早く陽性となるのは、既に形態学的変化を示している18hのCA3錐体細胞であった。24hになると、CA2を除くCA1,3,4でもApopTag染色が陽性となった。ここでも、CA2錐体細胞に変化が及ぶのは、他の部位より遅れて、注入後7dであった。amygdalaは、24hに、entorhinal oortexは、72hに陽性となった。(結論)今回の結果より、扁桃体にKA注入後18hより少なくとも、7dまでは、海馬でのApopTag染色が陽性となったことより、KAのdistant brain damageによる海馬錐体細胞死にapoptosisが関与することが示唆された。さらに、正確にapoptosisであることを証明するためには、錐体細胞の電顕的検討や、電気泳動法によるDNAのladderingを確認することが不可欠となり、今後の課題としたい。
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Research Products
(1 results)